お兄ちゃんまで転生してた?!
私、目が覚めるまでは女子高生として暮らしていたはず。ごくごく平凡な女子高生だった。頭だって良いまではいかなくても悪くはなかったし、見た目も普通、彼氏だっていて普通に過ごしてた。けれど、あの日起きた事故で私は死んだはず。なのに今、私はこんな見たことも無い世界で「聖女様」「ニア様」なんて呼ばれてた...
「ニア、いるんだろう?」
若い男が私を呼ぶ声が聞こえた。
「ニア、僕だよ、レオンだよ。」
レオン...私は彼の名に聞き覚えがなかった。
「ニア様、失礼致します。」
リリーが静かに私の部屋に入ってきた。
「ニア様、レオン様がいらっしゃってますよ?」
「あ、ごめんなさい、リリーさん。レオン様って...誰かしら...」
「ニア様?レオン様とは『レオン!レオン!』と、幼少期から慕っておりましたよ?覚えてらっしゃらないのですか?」
レオンって人が私と幼なじみ?
もしかすると顔を見れば何か思い出すかもしれない。そう思った私はリリーに頼んでレオンを部屋へ招いた。
「ニア!会いたかったよ!っ?!」
「レ、レオン...」
私達はお互い衝撃を受けた。
なぜなら...レオン、それは私のお兄ちゃんだったから。
「なんで...お兄ちゃ...」
そこまで言ってレオンこと、お兄ちゃんに口を塞がれた。
「リリー、少しニアと二人にしてくれないか?」
レオンに言われてリリーは微笑み、部屋を出ていった。
「驚いた...羽美も転生してたんだな...」
羽美。お兄ちゃんは私のことを羽美と呼んだ。
「けど、なんで俺がお兄ちゃんだってわかったんだ?」
「な、なんとなく...あと、私見てすぐ驚いた...」
「あ、あぁ。そんなに美少女になってるなんて思わなかったからな...」
「そう言えば、なんでお兄ちゃんがここに?」
「あぁ、今日父様から『お前の婚約者は幼なじみのニア様だ』と言われて会いに来たんだよ。まさか妹だとは思わなかったけどな」
「えっ...」
私は言葉を失った。平凡な私をずっと大切にしてくれてた完璧なお兄ちゃん。もちろん大好きだけど、転生したら婚約者?!