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聖女のお仕事?1日目!

「ニア様!ニア様ー!」

リリーに起こされて1日が始まる。

ここでの生活も、名前も全く慣れない。

昨日はわけも分からず一日が過ぎて疲れたからかすぐに眠りについてしまった。


「今日は聖女として教会に行ってもらいます。いつも通り、歌ってくださいね。」

「歌?歌って...何?」

「あら、ニア様、お忘れになりました?」

そう言った後、リリーは澄んだ声で歌い始めた。芯が通っているのに儚い声。思わず聴き惚れてしまった。

「あら、ニア様に聴き惚れて頂けるだなんて、光栄ですわね」

そう言ってリリーは頬を少し赤く染めた。

「さ、さぁニア様、早く支度してください!間に合わなくなりますよ!」

照れ隠しのように焦る彼女がなんとも微笑ましかった。


馬車に揺られてどのくらい経ったのだろう。着いたのはおんぼろな教会だった。

「ニア様だー!」

「ニア様が来られたぞー!」

そこにいた老若男女みんなが私の元へ集まってくる。その中の1人、若い女性が赤ちゃんを抱いてやってきた。

「ニア様、いえ聖女様。私の子に名前をつけて頂けませんか?」

「え、私が?!」

そんな大切なこと、私がしてもいいのだろうか。そう思っていたが、周りは「いいなぁ」「聖女様からお名前貰えるなんて羨ましい!」なんて、とても断れない状況になってきていた。

「わ、分かりました。名付けましょう。あなたの名前とこの子のお父様のお名前を教えて?」

「は、はい。私はルナと申します。この子の父はチノです。」

「ありがとう。では、この子は今日からルチアです。2人のお名前から文字を頂いて、そこに私の名前から1文字さずけましょう。」

「あ、ありがとうございますっ!」

あまり良くない頭を必死に使って考えた名前。彼女は泣いて喜んでくれた。

「さぁ、皆さん、ルチアさんの誕生と皆さんの幸せを願って、ニア様に歌って頂きましょう。」

リリーがそう言うと、教会にいた人々が静かに席に着いた。

「さぁ、どうぞ。」

そう言われ、私は前に出て朝リリーが歌っていた歌を歌った。歌い終わった直後、体の力が抜け、私は倒れた。


どれほど経ったのだろう。起きたらあの目覚めた部屋にいた。

「あ、ニア様、お目覚めになられましたか。」

にこやかにリリーが囁いた。

「え、どうして...」

私はあの教会にいて、歌ったあと...

「ニア様、歌ったあと倒れられたんですよ。前からそうです。この世界では歌の中に僅かながら魔力が含まれています。聖女であるニア様は他の方々よりも歌に込められる魔力が多いのです。なので疲れてしまわれるんですよ」

私の頭では追いつかない...。

歌に魔力?私だけ多い?

何それ。やっぱなにがなんだかわかんない...頭痛くなってきた...

「ニア様、今日はお疲れでしょうからもうお休みになられてはいかがです?明日はお客様もいらっしゃいますからね」

「そうさせてもらうわ...」

1人で冷静に考えたかったため、リリーに出て行ってもらった。

「おやすみなさいませ、ニア様」

バタンという扉の閉まる音を聞いたあと、私は睡魔に負けた。

私へのお客様。その方との出会いがこれからの運命を左右するだなんてこの時点では考えられなかった...

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