リリーとの出会い
「ニア様!やっとお目覚めになったのですね!」
私はニアじゃない。しかし、私が今まで呼ばれていた名前を思い出そうとすると、酷い耳鳴りがした。
「うっ...」
「ニア様!大丈夫ですか?!まだ体調が万全でないのでは...」
「だ、大丈夫!大丈夫だから...」
ニアと呼ばれる私。ゆっくり立ち上がり近くにあった鏡の前に立ってみた。
そこには、私じゃない...美少女がいた。真っ白な髪に赤い目、背は小さめで華奢な体。
「綺麗...」
私はそう小さく呟いた。それが聞こえたのかメイドさんと思われる女性が
「ニア様はいつも綺麗じゃありませんか!」
と、ニコニコ微笑んできた。
「ね、ねぇ...」
メイドさんに色々聞こうとしたが、名前が分からない...
そこへどこからか男の声が聞こえた。
「リリー!来てくれ!」
「はい、ただいま!ニア様、失礼致しますね」
メイドと思わしき女性は私に会釈をした後、部屋から出ていった。
「あのメイドさん、リリーって言うのね...」
彼女が私のことを知っているということは、私はずっと前からここにいたってことよね...って!ちょっとまって、私、目が覚めた時「聖女様」って言われたんだよね...聖女ってあの異世界転生とかで出てくるあの聖女だよね?...私が聖女ってどういうこと?!