表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/10

5〜男っつーのは〜

桜子と龍臣は「類は友を呼部」を設立。

龍臣は無理やり入部させられることに・・・・。


あぁ、疲れた。


俺は全身にずっしりと乗っかった疲労感を背負いながら高校の最寄駅の地下鉄のホームで電車を待っていた。


あの後、鬼嶋は「友人とは何か」を熱く語っていて中々帰らせてくれなかった。

スマホの画面には『19:35』と映っている。

授業が終わったのがだいたい15時過ぎ。

ということは約4時間くらい1人で話しっぱなしってどんだけ・・・・。


その数字を知ってより疲労が増す。


そして帰宅ラッシュで満員となった電車が駅に到着し、仕方なく俺も乗車。



おっさんの温もりを感じながら電車に揺られること20分。

家の最寄駅に着いた。


ホームから出口に繋がる階段を降り、改札を出ると何やら人だかりができている。

その中心にいるのはオールバックの髪型で長身の男とその脇を良い体格で柄の悪い男が2人固めている。


周囲の人は


「何かの撮影?」

「イベントでもあるの?」


任侠映画の収録でもあるのかと騒ついている。

その人達は映画ではなくガチのリアルのノンフィクションのヤクザでございます。


「若っ!!」


長身オールバックの男とその連れの二人が俺に気づき、駆け寄ってくる。


「若、どこで何をしていらっしゃったのですか!」

「若、心配で心配で夕飯のおかわり一回しかできませんでした!」

 

と、連れの二人。


「若に何かあったとなると俺はもう・・・・」


と、オールバック。

俺は呆れ顔でオールバックに言う。


「おい、大吾郎。駅には来るなって言ってるよな?」

「しかし若、お帰りがいつもより遅くて心配したんですよ?」


大吾郎だいごろう

オールバックの男の名前だ。

こいつは若い衆のリーダーで、その面倒見の良さは組長である俺の親も一目置いている。


「若に何かあったと思うとこの大吾郎、何やら胸騒ぎが止まらなくて」

「俺だってもう高校生だぞ?今の時間くらい許容範囲内だ。それに・・・・」


俺は周囲を見渡す。


「え?なに?あの高校生もそうなの?」

「今、『若』って言わなかったか?もしかして本物?」


妙な目線が俺達に送られている。


「次、駅まで迎えに来たらマジでキレるからな」

「「「へい・・・・」」」


少し口調を強張らせて言った俺に対して大吾郎達は力なく返事をする。


なんか今日は一年分の疲れが一気に来たような感じだ。



ー翌日

朝日が少し地平線から顔を出した頃。

俺は家の門をくぐっていた。

こんなに朝早く家を出るのは中学の時の部活の遠征以来だな。


なぜこんなにも早いかと言うと昨日の夜に話は遡る。



ーーーー23時過ぎ。

俺は布団の上で寝転がりながらスマホ片手にゴロゴロしていた。

時間も時間だしもう寝ようとした時、俺のスマホにメッセージが送られて来る。


「こんな時間に誰だよ?」


タイミングの悪いやつだ。

枕元に置いておいたスマホに手を伸ばす。

無料で通話やメッセージが送れるアプリ『マイン』を開く。そこのはこんなメッセージが送られてきていた。


『from鬼嶋桜子 明日は朝練があるから7時に部室に集合。』


いやいやいや、鬼嶋さん。朝練て何よ。

コミュニケーションをどうのこうの言ってる部活に朝練とか必要ないでしょ。

ったく何考えてんだこの女は。

俺は「あっ、ごめーん! もうあの時間は寝てわ!」って朝返信すればいいや。と考え布団を被る。


すると再び俺のスマホがメッセージの着信を知らせるために震える。


「なんだよ・・・・・・げっ」


またしても鬼嶋から。そして内容は


『from鬼嶋桜子 あんた、「ごめーん! もう寝てたんだ!」って朝言えばいいと思っているでしょ? 通用しないわよ、そんなの。もし明日来なかったらあなたに強姦されたと言う噂を学校中にばら撒くわ。それじゃ、よろしく』


図星中の図星。

しかも、なんかわからないけど脅されてる。

俺の平穏な日常が音を立てて少しずつ壊れていく。いや、壊されていく、か。




――――そして時間は本日の朝に戻る。

早朝の電車の車内は通勤通学ラッシュと比べてかなり空いている。

ふわぁ~と大あくびを盛大にかまして学校の最寄り駅に到着。


「お、星川。早いな」


男らしい口調だが声色は女性で何とも中性的な声が俺に降り注ぐ。


「あ、先生。おはようございます」

「おう。おはよ」


新倉先生と遭遇。学校までの徒歩10分の道のりを共にすることに。


「先生っていつもこんなに朝早いんですか?」

「まあな。いろいろとお前たち生徒のためにやらなくてはいけないことが多いのでな」

「そ、それはありがとうございます」

「星川こそこんな朝早くにどうしたんだ?」

「いや、鬼嶋に呼び出されまして」


俺は昨日鬼嶋から送られてきたメッセージの内容を新倉先生に話した。


「はははっ! 星川も大変だな!!」

「笑い事じゃないっすよ」


学校まで続く桜並木はだんだんとピンクから緑に色を変えていた。その中を軽快に笑う新倉先生と朝から気疲れしている俺が歩く。


「まあ、桜子は少し強引な所もあるけど悪いじゃないから仲良くしてやってくれ」

「少しじゃなくて大分強引絵すけどね」


苦笑を浮かべる俺。

新倉先生の顔を見ると先ほどの笑みを浮かべて話していた表情と打って変わってその表情が少し曇っている。


「実は桜子とわたしは従姉妹いとこなんだ」


通りであんなに打ち解けていたわけだ。

人見知りな鬼嶋があんなに淡々と話す姿に疑問を感じていたがそういう事だったのか。


「桜子は家柄のことで中学時代イジメまではいかなかったが、それの近いことをされていた。当然友達と呼べる存在は誰もいなかったそうだ。それからというもの口数も減り、あまり自分からコミュニケーションを取らなくなってきたんだ」


やはり。

といったところか。俺も鬼嶋の他人への対応を見ていてそんな風に感じていたところも少なからずあった。


「そんな自分や周りの環境を変えたくて私のいる高校に来たって訳なんだが、まさか同じ家柄の同士で部を作るとは思ってもみなかった」

「全くです」

「さっきも言ったが桜子は根は良いやつだから根気良く付き合ってくれ。これは私からのお願いだ」

「先生の頼みなら仕方ないっすね」

 

申し訳なさそうに笑みを作る新倉先生。

だが、俺は1つ疑問に思ったことがあった。それは鬼嶋の事ではなく新倉先生だ。


「てか、先生。鬼嶋と従姉妹って言ってましたよね?」

「あぁ、そうだ」

「ということは・・・・先生も」

「まあ、間接的にだがそういう事になるな。私の母が桜子の父の妹だからな」

「先生のバックにはヤクザがいると?」

「そうだぞ。言うこと聞かなと怖い人たちが来るからな」


新倉先生は無邪気な子供のように笑う。

新倉先生の授業を寝ているやつとか新倉先生にナメた態度を取っているやつが聞いたら一発で治るだろうな。


学校に着くと新倉先生は俺に向かって「朝練、頑張って来い」と言い残し職員室に向かって行った。新倉先生のどこか勇ましく見える後姿を数秒見つめながら俺も目的の場所を目指して足を進める。


朝の学校はとても静かだった。他人の声は聞こえず、俺の階段を上がる音だけが辺りにこだまする。


鬼嶋としては聞かれたくなかった話だろうな。

俺も小学生時代に鬼嶋の経験した状況と近いものになったことがあるから共感はできるが俺とは負った心の傷の深さが違うだろう。

その件にはあまり深く立ち入らない方が良いだろう。

と、そんなことを考えながら別館三階の部室こと第三社会科準備室に到着。


スマホの画面には『6:55』と予定時刻の5分前。

5分前行動は人間の基本だからな。

新倉先生の話を聞いて鬼嶋に肩入れするわけではないけど、まあ、少しくらいなら手伝ってやるか。


俺の気持ちが少し前向きになったところで俺は部室のドアを開ける。

その中にはすでに人の姿が。


「おぉ、鬼嶋もう来ていたの・・・・あれ?」


そこには黒髪ロングの女子ではなく、茶髪でどこかギャルっぽい女子がいた。

制服のシャツを第2ボタンまで開けていて、そこから豊満でいかにも柔らかそうなモノが2つ大きな谷を作っているのが見える。


「え、えーっと・・・・誰?」


入る部屋間違えたか?

と、あたふたしている俺にギャルの女が近づいてくる。


「星川・・・・龍臣君、だよね?」

「は、はい」


そしてギャルは俺の腕に絡まるようにして抱き着いてくる。

俺の腕は2つのブツが作る谷に挟まれ、今までに経験のない感触が襲う。

ギャルは艶やかの唇を俺の耳元に寄せて厭らしい声色で言った。


「この部屋誰もいないし、私と楽しいこと・・・・したくない?」


俺は確かに女が基本的には嫌いだ。

だが、今、俺自身の身体に、特に下半身に起きている反応の見てみると俺も男なんだなと感じる。


どうなっちゃうのよ、これ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ