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超高戦隊ルシフェル  作者: みつき
2/3

2話

・第二話

   ◆切なさと刹那の想い




「……で、何でその戦隊さんがボクを採用したんですか? 自慢じゃないけど、その、力とか無いんで喧嘩とか無理です」

「簡単な理由だ勇気君。名前だよ、な・ま・え! 大空勇気……なんかヒーローっぽいだろ!?」

 何と云う事だ。たかが名前でこんな変態としか言えない腐れ企業へ入社する事になっただなんて。何がヒーローだ。中年達が全身タイツを着ながら爆発音奏でる変態以外の何者でもないじゃないか。

 よし、退社しようそうしよう! 辞めよう★

「あの、入社早々に如何かとは思うのですが、本日付けで退社を……」

 その時、室内に警報音が鳴り響く!!

「エマージェンシーエマージェンシー! パターンブラウン、使徒です!」

 何か異常が起こっているのであろうか。カオリンと名乗ったオカマの化物がボクの靴を奪い取り、電話の様に耳にあてがっている。返せよ泥棒。いや、その前に誰と対話しているんだ。

「ヌゥン! 新たな“なまか”も増えた事であるし、豪快に使徒をブチ殺すぞ! 超高戦隊ルシフェル、出動!!」

 豪五隊長が拳を突き上げて少し過激な発言をすると、それに合せて皆が掛け声を上げる。と云うか、なまかとか言うな。


 豪五隊長はボクの頭を鷲掴みにすると、皆と共に全速力で走り出した。ブンブン振られながら拉致されるボク。助けてお母さん。

「使徒が現れたのは此処だな!? さあ、ショータイムd「言わせないよ! 某仮面的なライダー的なウィザード的な台詞、言わせないよ!?」

 捨てられた仔犬の様に悲しげな瞳でボクを見つめる隊長を遮り、全身全霊を持って現状を否定する。

「何なんですかこれ! 徒歩で来たし、ボク鷲掴みだし、そもそも使徒って何ですか!?」

「ふっ……今回の新人は威勢が良いな。良いだろう、教えてやろう。よく聞け! 明日にきらめけ! 私達の使命は“使徒”を倒す事だ!」

 カズマが遠くを見つめながら、何かを喋っている。


「何なんですか使徒って!」

「ヌゥゥ……使徒とは、ヱヴァ的な紫色のロボg「黙れゴウゴゴウ隊長! いつまで鷲掴みだよ! あと変な名前!」

 話が進まないので、未だボクの頭を鷲掴みする豪五隊長を罵倒する。何回も仔犬の様にこっち見るな。


「使徒とは、このネオアイチを襲う正体不明の化物よ。分かるのは、この世界を破壊しようとしているってだけ。アタイ達はこの世界を……人々を守る為に戦っているのヨー☆」

 カオリンがまともに状況を説明する。だがしかし、腰をノンストップで振り続けている事態はまともではない。


 そうこうしていると、この異常な状況を否定できぬ事態が訪れる。



  ――世界を揺るがす振動――



 ……大きい……すごく……大きいです。

 ビルよりも遥か上空にそびえる化物が現れた。岩の様にごつごつとした灰色の鎧を纏うかの如き体。まさか、本当に使徒と云う化物が存在するなんて。

「まさか……これと戦えって言うんですか!?」

 事態を受け止めかねるボクの戸惑いに、遥大地ことジョーと名乗る中年が黒縁メガネを光らせながら諭す。

「まさか……は、無いんだぜサムライボーイ。これは現実。この化物の野郎を俺っち達ルシフェルの力でボコしちゃうんだぜェ!」

 そんな、入社初日に命の危険が訪れるなんて。やはり、もう退社しよう。そう強く決意した最中、例の激しい閃光が辺りを包み込む。


「ふっ……世界の絶望を救う為……」

「正義の拳で悪を絶つぜェ~ッ!!」

「悪者も浄化される、アタイの美貌☆」

「ヌゥン!! 我等ぁぁぁ、超高戦隊ッ!!」


「ルシフェル!!」


 例の閃光と名乗り、そして爆発音と共に各色様々な全身タイツを纏った変人達へと姿を遂げる。



「勇気君、キミの事は忘れない! ゴウゴゴウミサァーイルッ!!」

 やっと、やっと頭を離したかと思った。そう、ものっそい勢いで振りかぶり投げ付ける。ボクを化物に向かって。

 お母さん、ボクはこのネオアイチでミサイルになりました。

「いやあぁぁぁ! 止めてぇぇぇ!!」

 しかし、ボクは化物にデコピン一発で弾かれた。それを見た隊長達の方から「チッ」と舌打ちする音が聞こえる。なにこのブラック企業。

 激しい痛みを振り払い、頭上を見上げると化物がボクを見下ろしていた。眉間に寄せる皺。震える頬。

 嗚呼、とてつもなく怒っていらっしゃる。


 岩とも山ともつかぬ腕を振り上げ、ボク目掛けて振り下ろす化物。うん、終わった。せめて天国に行ける様、御祈りでもしよう。

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