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超高戦隊ルシフェル  作者: みつき
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1話

 ――スモッグで彩られた空。

     冷たいコンクリートの大地。

     群れを成す様に一斉に歩く人々。

     そして視界を阻む大小様々なビル。


 此処は都会と呼ばれるネオアイチ。土臭い田舎からこの都会にある企業へと就職が決まったボクを出迎えてくれたのは、都会への淡い期待を失うには、そう時間は要しない風景だった。




・第一話

   ◆超高戦隊ルシフェル始動!!




 ボクは吐き気のする灰色の世界から抜け出し、やっと入社先の会社へと辿り着いた。


「えー、本日より我がルシフェル社で勤務する事になった新入社員の大空勇気(オオゾラユウキ)君だ! さあ、挨拶を!」

 ――会社へ着くや否や早速自己紹介となったのだが、ざわりと抱く違和感……。

 面接では社員の人数が把握できかねる程の大企業と聞いていた。なのに、ボクの視界には中年の男性……今、隣で挨拶を求めた男を含め、四人しか居ない。

 また、御世辞にも広いとは言えない社内。これは……もしかして騙された? ブラック?

 そんな不信な表情を浮かべるボクに、隣に居る中年が言った。

「ほら、勇気君! 挨拶挨拶ッ!」

「あっ、す、すみません!」

 思考を遮られて慌てふためくボクを、目の前に居る中年達が厳しい目で見つめる。しまった……第一印象が大事だというのに、つい呆けてしまった。


「え、あの、本日より入社致しました大空勇気と申します! ご指導ご鞭撻の程、宜しく御願い致します!」

「……素晴らしい」

 軽い挨拶を終えると、何故か隣に居る中年が感涙している。ただ挨拶しただけなのに、何なんだ?

 異様に思うボクを他所に、隣の中年は続けた。

「さあ! 皆も勇気君に挨拶をしなさいッ!」


 皆……目の前に居る三人の中年が挨拶を始めた。

「ふっ……私の名はカズマ……響カズマだ」

 名前と雰囲気に似合わない見事な迄の脂ぎった汗だくの中年太りな男だ。


「俺っちは遥大地(ハルカダイチ)。ジョーって呼んで良いんだぜェーー!」

 何故ジョー!? 黒縁メガネの七三ヘアー。モロに外国人の抱く“古い日本人サラリーマン像”の男が、軽いウインクをキメて指をパチンと鳴らす。


「アタイはゴンz……しゃないヮ! キャハッ! カオリ! カオリンって呼んでネ☆」

 ……此処が寂れたゲイバーかと錯覚する程の気色悪さを醸し出すカオリンと名乗るパンチパーマで熊の様にゴツイ大男……壊れた玩具の様に、ガクンガクンと腰を振っている。


 何が起こっているのか、予想を越える……否、予想すらできない展開に打ちのめされていると、隣の中年がコホンと咳払いをする。

「えー、そしてワシが豪五剛(ゴウゴゴウ)だ! 我がルシフェル社の隊長をしておる!」

「は!? た、隊長……ですか!?」

 ――此処の会社独自での職位名だろうか。隣の中年……おそらく上司であろう豪五隊長が、そう言うと眩しい程の白い歯を見せながら優しく爽やかに笑っている。

「驚くのも無理はないぞ勇気君。そう、御察しの通りルシフェル社とは仮の姿……我々の真の正体は……!!」

 えっ、何この展開。胸がざわざわする。


「とうッ!!」


  ――突如、部屋が眩しい閃光で包まれる


「ふっ……世界の絶望を救う為……」

「正義の拳で悪を絶つぜェ~ッ!!」

「悪者も浄化される、アタイの美貌☆」

「ヌゥン!! 我等ぁぁぁ、超高戦隊ッ!!」


「ルシフェル!!」


 眩しい閃光が収まると、爆発音と共に各色様々な全身タイツを身に纏い、怪しげなキメポーズを取る全員が其処に居た。


「察してません! こんなの察してません!」

「勇気君、今日からキミもルシフェルの一員だッ!!」

「いやだあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 彼等はボクの拒絶の絶叫を耳に入れず、己にうっとりと酔いしれていた。

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