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初恋  作者: 日下部良介
87/109

87.甘酒

 参道のわきで参拝客に甘酒が振舞われていた。

「寄って行こう」

 彼女が僕の手を引いた。

「そうだね」

 甘酒を頂いてベンチに腰かけた。

「温かーい」

 両手で茶碗を覆って冷え切った手を温めている。そして、一口すする。

「美味しいね。温まる」


 一息ついたところで聞きなれた声が聞こえた。

「よう! お前たちも来てたのか」

 木原と尚子だった。

「ちょっとウチに寄って行くか?」

 木原の家ではこれから新年を祝ってお節をいただくのだと言う。




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