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初恋  作者: 日下部良介
84/109

84.キスの味

 それから僕たちは映画を見ることにした。キャラメル味のポップコーンを買って席に着く。


 席に着くとすぐに僕はそっと彼女の手に触れた。

 彼女が僕の手を握り返す。そして、僕に身を寄せる。

 僕は彼女の方を見る。

 彼女も僕の方を見ている。

 彼女がそっと目を閉じる。

 僕は彼女に顔を近づけキスをした。


 外の明かりがこんなにまぶしく感じたことはない。

「実感した?」

「した」

「美味しかった?」

「うん。キャラメルの味がした」

「バカ!」

 



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