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初恋  作者: 日下部良介
82/109

82.ファーストキス

「ねえ、どうなの?」

「な、無いに決まってるだろう」

 それを聞いた彼女が満足そうに笑みを浮かべた。

「じゃあ、ファーストキスだね」

「えっ?」

「ううん、なんでもない」


 僕たちは駅前のカフェに入った。

「私はキスしたことあるよ」

 これまた唐突に彼女が口を開いた。僕はすごく動揺した。

「そ、そうなんだ?」

「ねえ、誰とだか気になる?」

「べ、別に…」

「その人はね…。その時、寝ていたの」

「えっ!」

「私のファーストキスだよ」




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