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初恋  作者: 日下部良介
80/109

80.唇

「そっちに行ってもいい?」

 そう言って彼女が僕のベッドに入って来た。

 彼女の顔が近い。

 彼女がそっと目を閉じた。

 僕は彼女に顔を近づける。

 彼女の唇に触れようとした時、目覚まし時計のアラームが鳴った。


 窓から差し込む朝の陽ざしがまぶしい。

 彼女はまだ眠っている。床に敷かれた布団で。

「もうちょっとだったなあ…」

 夢だとはいえ、もう少しで彼女とキスが出来るところだったのに。僕はベッドの上からそっと彼女の寝顔を眺めた。




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