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初恋  作者: 日下部良介
76/109

76.彼女のぬくもり

「あら、いらっしゃい」

 彼女を見て母が嬉しそうに微笑んだ。

「お邪魔しまーす」

「ごゆっくり」

「はい」

 二人の会話を聞いていると、なんだか僕より仲がいいように思えて少し妬けた。


 ベッドの上に並んで座る。

 彼女は僕のスケッチブックをめくりながら僕に体を寄せる。彼女のぬくもりと髪から漂ってくるシャンプーの香りが心地いい。

 僕がそっと彼女の肩に手を回そうとした時、母が紅茶を淹れてきた。彼女の体がふわっと離れて行った。




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