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初恋  作者: 日下部良介
54/109

54.カメラとスケッチ

 確かに木原の言うとおりだ。

「そうだね。僕はバックネット裏へ行くよ」

「待てよ…」

 そう言って席を立つと木原に呼び止められた。

「そもそも俺は写真だから解かるけど、お前はスケッチなんだから後で俺の写真を見て書きゃいいじゃないか」

「いや、写真じゃ臨場感が伝わらないから」

「だから、その臨場感をたっぷり味わっておけば絵は後からでもかけるんだろう?」

「まあ…」

「だったらお前もあっちのベンチで坂本を応援してやれよ」




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