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初恋  作者: 日下部良介
53/109

53.陣取り

 会場入りした僕たちは相手チームのベンチ側の席に陣取った。

「なんでこっちなの?」

 尚子が不満げに言う。

「こっちじゃないと味方のベンチが見えないだろう?」

「そうか! でも、私は関係ないから向こうに行くよ」

 そう言って尚子はウチのベンチ側へ移動していった。

「お前も行ったらどうだ?」

 木原が言う。

「俺にはこいつがあるけど、お前はここからじゃよく見えないだろう?」

 木原はそう言って望遠レンズを装着したカメラを見せた。





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