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初恋  作者: 日下部良介
40/109

40.夏祭り、その帰り道

 僕たちは参道の出口で別れた。


 一人で歩く帰り道、僕は自分の手を眺めた。彼女が触れてきた手を。柔らかな感触とほんのり暖かい温もりがまだ残っている。

 しばらくすると、後ろから声を掛けられた。息を切らした彼女がそこに居た。

「歩くの早いよ」

「えっ! なんで?」

「さっきは尚ちゃんが居たから話せなかったし…。ねえ、今から行ってもいい? 今日はまだ書いて貰っていないし」

 僕が答えるより先に彼女は僕の手を取って歩き出した。


 


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