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初恋  作者: 日下部良介
34/109

34.その席は…

 次の日から尚子はちょくちょく僕の席へやって来た。僕は隣の彼女に対して後ろめたさを感じた。そんな僕の気持ちに関係なく尚子は話し掛けて来る。

「あのさあ、私も入ろうかな? 美術部」

 そんな会話が届いたのか、彼女が席を立った。

「尚ちゃん、ここ座る?」

 彼女が尚子のために席を開けた。

「あっ…」

 思わず声が漏れた。彼女は一瞬、僕の方を見たように思えたけれど、尚子がそんなことに気付くはずもなく、彼女の席に腰を下ろした。







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