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初恋  作者: 日下部良介
33/109

33、それってラッキー?

 歩調を緩めた尚子が立ち止った。

「えーっ」

 そんな彼女を僕は振り向いて見た。

「それじゃあ、島田君がこのまま私のことを好きになったらそれが初恋ってこと?」

 尚子は一瞬だけ複雑な表情を浮かべたけれど、すぐに笑顔になった。

「それってラッキーだよ。私が島田君の初恋を叶えてあげられるんだから」

 いや、実際には僕の初恋は彼女だ。

 でも、もし、それが叶わぬ恋なのだとしたら…。

「そ、それはラッキーだね」

 僕は思わず苦笑した。





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