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初恋  作者: 日下部良介
26/109

26.スケッチブック

 彼女は数人のチームメイトと一緒だった。スケッチブックを抱えた僕を見て言った。

「美術部に入ったのね」

「ああ、担任に誘われたから」

 彼女が僕に話しかけたので他のチームメイトは「じゃあね」と言って先に帰って行った。

「それ、見たいな」

 彼女がそう言って僕のスケッチブックを指した。

 焦った。彼女のデッサンしか書いていなかったから。

「まだ、何も書いていないんだ」

 僕はそう言って速足で歩きだした。彼女は追ってこない…。


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