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永久の戦艦 大和  作者: 呉提督
82/88

終戦への道 4

1944年 8月15日 早朝


この日は連日の大雨が嘘のような

晴天の夏空であった。

突如、帝都東京の中心に

完全武装した集団が展開した。


真田、神らが計画した、海軍陸戦隊による

クーデターである。

神率いる海軍陸戦隊特別混成旅団3000人は

市ヶ谷の陸軍参謀本部、陸軍省、教育総監部、

霞ヶ関の警視庁などを次々と制圧。

陸軍の講和反対派を手当たり次第に

処刑した。


「全員動くな!これより此処は我々海軍陸戦隊の

指揮下に入る!」


「なんだお前たちは!」


参謀総長室にいた東條英機は招かれざる客の

登場に怒りを露にした。


「海軍大佐真田正樹です。天皇陛下の

御勅命により、我々の手で新内閣を

成立させることとなりました。」


「貴様ら、さては陛下を愚弄しおったな!

恥を知れ、恥を!!」



顔を真っ赤に染めて怒り狂う東條の

姿に真田は少し笑ってしまった。



「恥を知るのはどちらでしょう?閣下。

支那事変は3ヶ月で終わると豪語しておきながら

まったく終結の兆しは見えず、

日米交渉の時も大陸からの撤退に反対なさいましたね。

天皇陛下から預かった兵を自身の下らない権益の

ために犠牲にするなど言語道断!

陛下は大層呆れていらっしゃったようです。」



8月上旬、海軍大臣嶋田繁太郎が天皇陛下に

上奏した。

サイパン沖での勝利と、今後の作戦方針について

説明するためである。

陛下からはただ一言

「早く戦争を終わらせるように」と。


こうして真田らは、2.26事件の反省を踏まえ、

陛下の御理解を得た上で、今回の武力行使に踏み切ったのだ。



「東條閣下。今からでも遅くはありません。

米国との和平交渉開始を閣議決定してください。

そうすれば戦争は終わります。」


真田の心からの説得だった。

だが、その願いはあっさりと踏みにじられた。


「この国賊が!今我が帝国は米英を相手に勝利を

重ねている!今こそその戦果を拡大し、

南方で不敗体勢を・・・」


もう何を言っても無駄だ。

この男が総理大臣であり続ける限り、

日本に平和は訪れないだろう。


「閣下、残念です。」


次の瞬間、真田は右手に構えた拳銃の

銃口を東條の額に向け、人差し指に力を込めた。

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