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永久の戦艦 大和  作者: 呉提督
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終戦への道 2

1944年 7月



大和らの活躍により、マリアナ沖で見事

米艦隊を撃滅した日本海軍であったが、

その損害は決して小さいものではなかった。

戦艦長門、陸奥の2大戦艦が航行不能となって

自沈し、伊勢、日向、扶桑も失った。

空母の損失こそ、瀬戸内海に引き揚げる際、

台湾沖で米潜水艦に襲撃されて沈没した

蒼龍だけであったが、

旧式重巡洋艦3隻と駆逐艦7隻も沈没。


最も痛かったのは航空機の喪失だった。

この海戦だけでも800機以上を失っている。

海軍内には次はハワイだと騒ぐ参謀も

いるが、現状はそれが夢物語であることを

如実に物語っている。



真田は今こそ終戦に向けて講和の

準備すべきだと考えた。




7月28日


よく晴れた日だった。

熱海の海が一望できる洋風屋敷に

数人の男が集まっていた。


海軍省教育局の高木惣吉少将を筆頭に、

連合艦隊司令部の神重徳大佐、

同岩田中佐、横須賀鎮守府参謀となった田代中佐、

そして真田。

いずれも海軍の中堅将校だ。


「真田大佐、サイパンではお見事でした。」


「ありがとう岩田。頼んでおいたことは

やってもらえたか?」


「無論です。」


真田はかねてからサイパンでの一大決戦で

戦争を終わらせようと考えていた。

そのため、あえて岩田中佐らを内地に

残し、終戦に向けた足場づくりを行っていたのだ。


「外務省の吉田茂、皇族の高松宮新王、

井上中将や米内閣下からも同意を得ています。」


「陸軍は?」


「やはり継戦派が主流だ。」


「そうですか・・・」


残念ながら、陸軍の継戦派を抑えている

時間はない。海軍内にですら、

米国にさらなる打撃をと唱える人間が

いるのだ。海軍をひとつにまとめるのが

精一杯だった。


「わかりました。高木少将、

米内閣下に陛下に上奏していただけるよう、

お願いできますか?」


「わかった。閣下にはこちらから

頼んでおく。」



「陸戦隊の準備は私と田代でやる。」



「神大佐、よろしく頼む。

陸軍の憲兵が我々の周囲を嗅ぎ回っている

らしい。十分に気をつけてくれ。」



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