マリアナ沖大海戦 14
第二艦隊が米空母に砲弾を雨あられと
降らせる。
米機動部隊は回避行動をとりながら、
文字通り必死に逃走しようとする。
米重巡キャンベラが
古鷹を炎上させた。
しかし、キャンベラも無事では済まない。
オークランドを撃沈し、
サンファンを大破に追い込んだ
加古、衣笠が古鷹の敵討ちと言わんばかりに
砲撃を浴びせ、キャンベラは廃艦同然となって
海上を漂った。
第八戦隊も負けず劣らずの
戦果を挙げている。
午後2時6分、伊勢がワスプⅡに主砲弾2発を
命中させ、ワスプⅡは完全に航行を停止。
ただ撃沈させるのを待っているだけの
存在と化した。
米軍の立て直しは想像より遥かに
早かった。
日本軍に重巡が少ないと見るや、重巡部隊が
一丸となって第八戦隊に突撃し、
空母は砲撃の着弾地点を追いかけるように
回避運動を始めた。
(戦艦の砲撃は着弾地点を示す水柱を
目安に照準の修正を行うため、
水柱を追いかけるように艦を動かせば
砲撃の命中率は極端に低下する。)
午後2時20分頃には、
第二艦隊は米巡洋艦の排除に
手一杯となり、とても空母を
砲撃できる余裕はなくなった。
漣は軽巡ビンセンスの砲弾を無数に食らって
既に海没し、曙も重巡ペンサコラの攻撃により大破。
搭載魚雷の誘爆によって午後2時16分、
沈没した。
日本にとって致命的だったのは、
高浪のせいで日本海軍の秘密兵器、酸素魚雷が
使えないこと。
駆逐艦は重巡を追い払うことができず、
徐々にその数を減らしていく。
浦波に米巡ソルトレイクシティの
20.3cm砲が突き刺さった。
艦橋下部に大穴を開けられた同艦は
どんどん左に傾斜し、10分足らずで
沈没。
浦波の姉妹艦の敷波も軽巡サンディエゴ
の主砲を被弾し、航行不能になる。
午後2時42分、
衣笠、加古は浦波を沈めた
ソルトレイクシティに砲撃を集中するも、
有効打を与えられず、逆に加古が
第一、第二主砲搭に被弾。
弾薬庫誘爆を防ぐために注水し、
主砲の射撃が不可能となった。
こうして、日米の総力を挙げた海戦は
泥沼の様相を呈していくのであった。