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永久の戦艦 大和  作者: 呉提督
68/88

マリアナ沖大海戦 10

日米艦隊決戦いよいよ決着!

モンタナとオハイオは

それぞれ長門、陸奥と交戦し、

午後8時過ぎには多数の命中弾を

与えて2艦を炎上させていた。



「第三、第四主砲電源喪失!

射撃不能!」



「後部甲板火災発生!消火急げ!」



長門艦内では必死の応急修理が

行われてはいたものの、

米軍のMk.7は日本の45口径41cm連装砲より

炸薬が多く、

また、モンタナ級は46cm砲弾にも

耐えうる装甲が張り巡らされており、

いくら長門型が近代化改修のされた

最強のビッグ7とはいえ、

無勢なのは明白であった。



「取舵一杯!

長門と陸奥の援護に入る!」



だがそううまくはいかない。

護衛すべき戦艦に先立たれた

ボルチモア級重巡4隻が

大和の行く手を阻んだ。


4隻の重巡は計36門の8インチ榴弾を

大和にシャワーのように撃ち込んでくる。

51cm砲弾に耐えられる大和の装甲から

すればかすり傷にもならないのだが、

榴弾なので、貫通されなくとも火災が

発生する可能性があった。



「前部甲板小火災発生!」



「長門と陸奥だけは沈めようってか!」



大和には炭酸水素ナトリウムの消火剤が

搭載されているが、

さすがに甲板にはない。


「村田!あの重巡を黙らせろ!!」


『了解!!』



森下の檄に射撃指揮所の村田が

答える。


30秒後、大和の第一、第二主砲4門が

火を噴き、

重巡1隻を根元からへし折った。

重巡の中では重装甲を誇るボルチモア級も

大和からしてみれば薄すぎるくらいである。



「中央部に命中!轟沈!」



「よし、次弾装填!」



次の艦は深い角度から

砲弾が直撃したため、

艦橋下部に巨大なナイフを

降り下ろされたかのように

ふたつに切り裂かれ、浸水を招いて沈没した。


残った2隻は武蔵と信濃の

獲物となった。


艦橋も主砲も高角砲も魚雷発射管も

すべてを吹き飛ばされ、まさに浮かぶ鉄の塊と

化したのが1隻。

喫水線下に直撃弾を受け、瞬く間に

波間に消え去ったのが1隻。



「艦長!陸奥が探照灯を!!」



陸奥は満身創痍になりながらも、

オハイオに向けて探照灯を照射した。

武蔵型より巨大な280mの船体が

海上にくっきりと浮かび上がる。



「陸奥に「消せ」と伝えろ!的にされるぞ!」



「駄目です!通信不能!」




長門も陸奥も火だるまにされ、

主砲を動かすどころか、

航行すらままならない。

それでも彼女らは光を放ち続けた。


それはたとえ自らが滅びようと

敵も道連れにしてやるという

覚悟の現れだった。



「主砲旋回完了!装填よし!射撃準備よし!」



「これなら外さねえ!喰らえ!」



モンタナの艦上に閃光が走った。

大和の砲撃が直撃したのだ。



「命中!命中!」



武蔵型と互角に戦えるモンタナ級ですら、

大和の前では無力でしかない。

第二主砲塔の砲身はへし折れ、

煙突はなぎ倒された。


煙突がなくなれば、当然正常な排煙が

できなくなる。

モンタナは艦全体がどす黒い煙に包まれ、

海上をのたうち回り始めた。


「敵弾命中!」


モンタナ、オハイオの砲弾も大和を

捉える。

しかし、対51cmの装甲がそれをことごとく

弾き返した。


大和が3斉射した後には、

モンタナも他の米戦艦の例外ではなく

ただの鉄の塊と化した。

上部構造物は艦橋を含めほぼすべて

原型をとどめないほどに破壊されていた。



「よし、もう1隻を狙え!」



最後まで生き残ったオハイオは

日本艦隊全艦のめったうちを浴びた。

駆逐隊も鬼神のごとき肉薄で接近し、

必殺の魚雷を打ち込む。

戦艦は持てる全火力をオハイオに叩きつける。


オハイオが全身を穴だらけにされて

マリアナ海溝に消え去ったのは

午後9時38分のことだった。



日本海軍は40年間鍛え上げた艦隊決戦で

堂々の勝利を納めたのである。


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