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永久の戦艦 大和  作者: 呉提督
63/88

マリアナ沖大海戦 5

1944年 6月18日 19:00



第一艦隊は2度の空襲に晒されながらも

1隻の沈没艦も出すことなく、

夜を迎えた。

明日の昼にはサイパン島近海に到着する。

敵艦隊との会敵は明日の午後から夜になると

予想された。


「真田大佐、今後の敵の動きをどう見るかね?」



「敵はこちらの想像以上に航空機を

消耗しております。空襲が二次で終了したのが

その証拠です。

次は敵の戦艦部隊が出てくるかと思われます。

我が海軍が練り上げてきた艦隊決戦となるかと。」


真田の読みは的中していた。

時刻は2時間半ほど前に遡る―――――




この日、苛烈な空襲によって

稼働機を半数近くにまで減らされてしまった

サイパン航空隊は、

テニアン、グアムの航空隊と連携し、敵機動部隊に

夕刻総攻撃を仕掛けることを決断した。

午後1時、偵察機8機を発進させ、

敵艦隊を捜索。

午後3時11分、敵機動部隊発見の報告が

相次いだ。

高速空母15、戦艦10以上がひしめく大艦隊である。



この報告を受けたサイパン海軍守備隊

総司令南雲忠一中将は、

ただちに攻撃隊の出撃を命令。

午後3時30分から4時にかけて、

マリアナ諸島各基地から、二派、384機からなる

攻撃隊が飛び立った。


攻撃隊は約1時間半飛行し、

サイパン島の東南東210マイル

(約330km)の地点に進出。


そして、午後5時08分


『敵空母見ユ。艦数12以上。

5群二分カレ航行中。

此ヨリ我突撃ス。』


攻撃隊第一派より入電があった。

日本軍機は米空母を撃破すべく、

一斉に突入を開始する。


だが、米軍側も新型レーダーで

日本軍機の接近を掴んでいた。

140機に及ぶ迎撃戦闘機が

日の丸を付けた爆撃機に襲いかかる。


航続距離の長い戦闘機が、もう旧式化して

しまった零戦52型しかない

日本軍は、爆撃機を十分に護衛することが

できず、被害は拡大した。

次々と翼から出火し、海に叩き落とされていく

日の丸の戦闘機。

爆弾を叩き込むべき敵を目の前にして

無念にも海中に消える機体が続出した。


例え敵戦闘機の迎撃を突破したとしても、

その先には艦隊からの激烈な対空砲火が

待ち受けていた。

それでも、優秀な搭乗員たちは

機体を滑らせたり、海面ギリギリを

飛行するなどして、敵空母に

魚雷や爆撃をねじ込んでいく。


主に狙われたのは、艦隊の左前方を航行していた

第二空母群。

その中でも特に攻撃は正規空母シャングリラと

ハンコックに集中した。


シャングリラは一式陸攻4機からの

魚雷攻撃を受け、3本が左舷に命中。

大量の浸水を招き、速力は11ノットに低下した。

そこに天山6機と彗星9機が止めをささんと

突撃し、さらに魚雷3本と爆弾4発が突き刺さった。


この瞬間、シャングリラの運命は

決まったと言っていい。

魚雷の命中で応急処置室や発電室が

破壊され、消火ポンプも作動せず、

まったくのお手上げ状態。

午後5時56分、海中に姿を消した。



ハンコックの惨状も負けず劣らずだったと

言える。

ハンコックも同様に魚雷4本を浴びたのだが、

あたりどころが悪かった。

艦前方部に命中箇所が集中していたため、

艦が大きくバランスを崩し、ダメージコントロールが

適切に行えなかった。

そこに50番(500kg爆弾)が3発も直撃したのだから

たまらない。

1発は艦橋を吹き飛ばして艦長以下幕僚を

死傷させ、さらに1発はエレベーター付近に

落下し、エレベーターで輸送されていた

弾薬に誘爆。

手がつけられない状態となり、

午後6時07分に総員退去発令。

午後7時30分、駆逐艦によって雷撃処分された。



こうして各基地の奮戦により、米軍は2隻の

正規空母を失い、主導権は日本が握った。

しかし、この華々しい戦果と引き換えに

日本もまた航空機214機、出撃機数のおよそ6割

を喪失し、日本の基地航空隊は以後

攻勢に転じることは無くなってしまった。

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