表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
永久の戦艦 大和  作者: 呉提督
62/88

マリアナ沖大海戦 4

「銃身冷却急げ!」



「負傷者は至急医務室へ!」



「漏水箇所、配電盤を確認しろ!」



第一次空襲が止んだのもつかの間。

さらなる空襲に備え、大和乗員は

目まぐるしく動いている。

先の空襲で魚雷3本を受けたものの、

速力はまったく衰えず、けろっとした顔で

航行を続けている。



「真田大佐、やはり空襲は続くかね?」



「おそらく。ですが・・・」



宇垣は顔の筋肉ひとつ動かさず尋ねる。

真田は回答として口先に出かかった言葉を

引っ込めた。

通信士官が血相を変えて報告にきたからである。



「対空電探に感あり!

敵機大編隊、機数130以上、南南東より接近中!

20分で接触すると思われます!!」


「対空戦闘用意!なんとしても切り抜けよ!」



米軍の第二次空襲は機数142機。

先ほどよ第一次よりも少ない。

だが、戦爆連合だった前回に比べて

今回は雷爆主体である。

艦隊上空に直掩機がいなかったことを

考慮しての編成だろう。



午前11時23分、

先頭を進む20機ほどの雷撃機が大和めがけて

低空で艦隊に侵入。

大和の左舷側を護る鞍馬が即座に射撃を開始した。


「鞍馬と伊吹は本当に素晴らしい。

やつらには足を向けて寝られんな。」



大型艦の護衛は想像以上に難しい。

接近し過ぎると、大型艦が転舵した時に衝突する

危険性があるし、かといって離れすぎては

十分な対空弾幕を張ることができない。

2隻は距離1000という大和との絶妙な位置を保ちつつ、

自艦も回避を行っているのだ。

神業というほかない。



「直上、降爆8、突っ込んでくる!」



「と〜りか〜じ!10!」



森下の操艦も冴えていた。

第一次空襲の際は不意討ちで魚雷を食らったものの、

見張り員を増員することでこれに対応し、

雷爆のことごとくをかわし続けている。


「武蔵、左舷に2、右舷1、被雷!」


「信濃に閃光!被弾したものと思われます!」



大和の回避に業を煮やした

米軍機は大和の次に巨大な武蔵、信濃に攻撃を集中した。

武蔵、信濃も他の戦艦と比べると遥かに

頑丈に作られてはいるが、あくまで

制空権下での運用が前提である。


「不味いな・・・」


真田が初めて弱気な言葉を口にした。

彼の作戦計画では、米軍との艦隊決戦の際、

武蔵、信濃はほぼ無傷のはずだった。

でなければ、戦艦10隻以上を擁する米艦隊には

勝てない。



真田は祈るような気持ちで

攻撃を受ける2艦を見つめた。

祈りは届いた。

武蔵は魚雷3本、直撃弾4発、

信濃は魚雷1本、直撃弾5発を浴びたものの、

戦闘航行に支障はなかった。



空襲は20分ほどで終わった。

正午にはほとんどの敵機が艦隊上空から

引き上げ、艦隊には再び静寂が戻った。



その後、艦隊が空襲にさらされることは

なかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ