マリアナ沖大海戦 3
無数の敵機が大和に群がる。
雷撃機、爆撃機、攻撃機・・・
日本が誇る巨艦を海底に葬らんと
突っ込んでくる。
「敵機1機撃墜!」
「雷撃機3!降爆4!7時方向!」
「オモォォか〜じ、15!」
森下艦長の操舵は見事の一言だった。
大和の舵は切ってから回り出すまで2分はかかる。
なのであらかじめ舵を少しだけ切っており、
敵機が投弾した瞬間に一気に回す。
これなら切った舵がすぐに効き始める。
「左舷、雷撃4!魚雷投下!」
「舵〜戻せぇぇぇ!」
大和護衛の巡洋艦 伊吹、鞍馬も
猛烈な弾幕形成で大和に敵機を
寄せ付けない。
「伊吹、敵機5機撃墜!」
「鞍馬、3機撃墜!1機向かってくる!」
空襲開始から15分。
大和はまだ1発の被弾も許していなかった。
数発の至近弾を受けたのみで、
直撃したものはない。
武蔵、信濃も同様のようだ。
高角砲の猛々しい発射音が響き渡る。
機銃は銃身が焼き付くまで撃ちまくる。
落としても落としても敵機は
大和に殺到し、敵機の爆音と
射撃音が交錯した
「雷撃機4、降爆3!9時方向より接近!」
「とぉぉぉりか〜じ、一杯!!」
しかし、さすがの森下艦長も
これだけの雷爆のことごとくを
すべてかわすことはできなかった。
左舷から2本の雷跡が大和に忍び寄る。
「左舷雷跡2!命中します!」
午前9時09分、
大和の左舷に魚雷2本命中、
1分後にはさらに右舷に1本が命中した。
はずなのだが・・・
「応急修理班より報告!
戦闘、航行、共に支障なし!」
大和の中央部に施された三重の装甲と
装甲に流し込まれたスポンジが浸水を
ほぼ防いでいた。
一部結合部が緩み、漏水していたところはあったが。
「大和・・頑丈なやつだ。」
午前9時21分、およそ25分に及ぶ空襲は
終わった。
艦隊の被害は、
大和 被雷3、至近弾4
武蔵 被弾2、至近弾1
信濃 至近弾2
で、護衛艦に損害はなかった。
撃墜数は大和だけで18、
艦隊全体では確実不確実あわせて80機以上だった。
特に伊吹、鞍馬の弾幕はすさまじく、
2隻で46機を撃墜していた。
だが、米軍の攻撃がこれで終わるはずがない。
真田たちはさらなる空襲に気を引き締めた。