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永久の戦艦 大和  作者: 呉提督
50/88

長官機撃墜 1

1943年



連合艦隊司令部を乗せた信濃は5月26日

トラックに入港した。

山本長官の強い要望で、

連合艦隊司令部の前線航空基地視察が決まったのだ。


真田は安全性を考慮して強く反対していたが、

長官の意思は固く、最終的には合意した。

もしかすると、山本長官は日本海海戦で

三笠の露天艦橋に立ち、海戦を勝利に導いた

伝説の東郷平八郎元帥の姿を自身と重ねていたのかも

しれない。


視察するのは絶対国防圏の最前線基地

ギルバート諸島とマーシャル諸島。

第一次世界大戦で日本が獲得した委任統治領である。

ワシントン条約で要塞化が禁止されていたため、

防衛陣地は貧弱で、真田は島民を避難させたのち

この諸島からも撤退するように進言したが、

軍令部は


「トラック島防衛のために絶対必要である」


と主張。連合艦隊司令部も同意したため、

撤退は叶わなかった。

マーシャル諸島には零戦や陸攻など120機、

ギルバート諸島には二式水戦や哨戒機などおよそ80機が

集められ、米軍の侵攻や機動部隊の動向を

大本営に連絡する役割を担っていた。



飛行ルートは

トラック→マーシャル諸島マジュロ

→ギルバート諸島タラワ→トラック

の全5日間。

米軍のガダルカナル飛行場からは2800km以上

離れているため、妨害の危険性は低いが、

5月に入ってから中部太平洋で正規空母を含む米機動部隊が

何度も目撃されており、

会敵する可能性があった。




真田は何度も護衛機を増やすよう

説いたのだが…


「長官、念のため、護衛は多くつけて下さい。

零戦20機は必要です。」


「6機あれば十分だ。それより真田参謀。

留守を頼むよ。」


「長官!長官にもしものことがあれば、

日本は敗れます!」



長官は頑として首を縦に振らなかった。


「ならばせめて9機で。3個小隊なら

護衛する側もやり易いでしょう。」


この後も何度かやりとりが続き、

最後は長官が折れて9機の護衛が

付くことが決まった。



6月3日午前10時


トラック島の飛行場で連合艦隊幕僚を乗せた

2機の一式陸攻が発動機を始動した。

長官は緑色の三種軍装に身を包み、

部下に敬礼を返しながら、陸攻に

乗り込む。


それが山本五十六の最期の姿に

なろうとは、この時誰も思わなかった…

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