日米機動部隊激突!!5
6月6日 08時28分、
日本軍攻撃隊88機は
自軍の東南東およそ110マイル地点に展開する
第17任務部隊(米機動部隊)に
殺到した。
前日、2度に渡る空襲で日本空母艦隊を
壊滅させていたと思い込んでいた米軍は
日の丸を付けた航空機の来襲に愕然とした。
アメリカの空母艦隊は1隻の空母を複数の
巡洋艦や駆逐艦で囲み、
それを複数集めて任務部隊としていた。
最初に狙われたのは一番日本空母に
近い位置にいた空母ホーネットだった。
F4F、18機が迎撃に向かうが、
護衛の零戦に簡単に蹴散らされる。
前日の空鶴撃破と引き換えに米軍は
戦闘機を大きくすり減らしていたのだ。
翔鶴雷撃隊が中心となって
攻撃体勢に入る。
護衛の駆逐艦や巡洋艦が猛烈な
対空弾幕を形成する。
日本軍機はそれをもろともせず、弾幕の中に
突っ込んでいく。
急降下爆撃隊は70°近い角度で
ホーネットに突入し、雷撃機は
海面スレスレの低空飛行で肉薄する。
少なくない雷撃機が翼から火を噴いて海面に激突
するが、それでも残った雷撃機が
狙いを定めて一斉に魚雷を投下した。
ホーネットの飛行甲板に閃光が走った。
250kg爆弾3発が命中したのだ。
さらに海中を疾走してきた航空魚雷が
次々と突き刺さる。
左舷に3本、右舷に1本の魚雷がホーネットを
食い破った。
いくら防御力の高いヨークタウン級だと
しても、所詮は空母。
戦艦ほどの装甲はなく、ホーネットは
左舷に12°傾斜。
多大な浸水を招き、出しうる速力は6ノットに
低下した。
それでもまだホーネットは洋上に姿を残しており、
米軍のダメージコントロール能力の高さを
物語っていた。
瑞鶴航空隊はホーネットの北東8マイルを
航行する空母ヨークタウンを目標に設定した。
こちらもF4F、11機が上空を守っている。
これも直掩零戦が難なく蹴散らした。
瑞鶴攻撃隊の攻撃もあっぱれの一言だった。
急降下爆撃隊の侵入と同時に雷撃機が
接近し、雷爆同時攻撃を敢行する。
避けきれるはずもなく、ヨークタウンには
2本の魚雷と4発の爆弾が直撃した。
ヨークタウンはまだ航行が可能だったが、
それでも速力が16ノットに低下。
航空機の発着艦も困難になっていた。
もちろん、これだけでは終わらない。
08時51分、日本軍攻撃隊第二派59機が
米軍艦隊上空に到達。
損傷したホーネット、ヨークタウンに集中攻撃を
加えた。
唯一無傷だったエンタープライズが
戦闘機を派遣して2隻の援護にまわったが、
最早焼石に水である。
ホーネットはさらに魚雷2本を受けて
大爆発を起こし、08時59分、轟沈。
ヨークタウンも魚雷2本、爆弾2発が命中し、
発電機が破壊され、電源を喪失。
それでもなんとかこらえていたが、09時40分、
総員退去命令が下され、10時20分頃
珊瑚海にその姿を消した。
エンタープライズのみとなってしまった
第17任務部隊は撤退を決定。
ハワイへと引き返した。
こうして初の日米空母部隊の対決、珊瑚海海戦は
日本が空母1隻を損傷したのに対し、
米軍側は空母2隻を失い、日本が戦術上の勝利を
納めた。
米軍の敗因は、戦闘機隊と爆撃隊が
バラバラに出撃したため、攻撃隊だけでなく、
戦闘機までも大損害を受けてしまったこと、
雷撃隊の腕が日本のそれよりに大きく劣ること
などであるとのちに研究結果が提出されている。
だがしかし、日本軍も艦載機60機以上を失い、
完全勝利とは言えなかった。
MO攻略部隊長官の井上成美中将は
自軍の損害を考慮し、
MO作戦の中止を決断。
これにより、日米はお互い積極的攻勢が
不可能となり、以後長いにらみ合いに
入るのであった。