日米機動部隊激突!! 2
6月5日早朝。
ツラギより零水偵3機が偵察に飛び立った。
本当は5機による偵察を予定していたが、
2機の飛行ルートに発達中の低気圧があったため
3機による偵察となった。
MO攻略部隊は既にラバウルを出て
珊瑚海に入っており、
いつでも攻撃隊を出せる体勢だ。
結局3機が2時間に渡って索敵を
行ったものの、敵空母は発見できず、
第四艦隊司令長官の井上成美中将は
午前10時からポートモレスビー攻撃を
開始するよう機動部隊に通達した。
そして、午前10時。
「第一次攻撃隊発進準備完了!」
3隻の翔鶴型空母の甲板で
日の丸の翼を輝かせる航空機たちのプロペラが
一斉に回り出す。
車止めが外され、一番機が滑走、
そのまま南太平洋の大空へ飛び上がった。
第一次攻撃隊(ポートモレスビー空襲隊)は
零戦27機、九九艦爆30機、九七艦攻21機の
計78機。
今朝ラバウルの台南空が一式陸攻による
爆撃を敢行しているため、
とどめを刺すには十分な戦力だと考えられた。
3空母は攻撃隊を見送ったのち、
艦攻を2機ずつ計6機発艦させ、付近の
警戒に当たらせた。
だが、この時、悪夢の時間はもう
始まっていたのである。
1時間後の午前11時02分、
艦隊の上空に航空機が1機出現した。
最初は友軍の伝令かと思われたが、
なにやら様子がおかしい。
その機はなんと翔鶴に対して急降下を
始めたのだ!
「面舵一杯!!」
艦長の城島高次大佐の声が艦橋を
揺るがした。
護衛艦艇も対空射撃を開始し、
艦隊直掩の零戦6機が
猟犬のように襲いかかった。
その航空機、SBDドーントレスの
投下した250kgは当たることこそ
なかったものの、
日本軍機動部隊は作戦開始から
わずか1時間でその位置を完全に
米軍側に露呈してしまったのである。