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永久の戦艦 大和  作者: 呉提督
32/88

インド洋方面作戦 3

連合艦隊のインド洋作戦は気味が悪いほど

順調に進行していた。


3月30〜31日、南雲機動艦隊は

セイロン島のイギリス軍に止めをさすべく

大規模空襲を実施。

コロンボ、トリンコマリー両飛行場及び

港に大打撃を与え、イギリス軍の作戦能力を

完全に奪い取った。


トリンコマリーは飛行場があったものの、

港自体は商業港で防空装備は無きに等しく、

日本海軍はほとんど損害なく作戦を

成功させた。


4月5日、

海軍陸戦隊7000人がコロンボに上陸を開始。

巡洋戦艦4隻、正規空母6隻、軽空母1隻

の支援を受けた陸戦隊は滞りなく上陸に成功。


上海で戦闘経験があり、

士気旺盛な陸戦隊と、大半の兵が

現地調達で士気も装備も日本軍に劣る

イギリス軍では勝負にならなかった。

イギリス軍司令部は2日後の4月7日に

日本軍に降伏。


こうして日本軍はインド洋作戦の

拠点となるセイロン島を最小限の損害で

確保した。




・・・・・・



コロンボが日本の手に落ちた頃、

真田は呉鎮守府の一室で次の作戦計画を

立案していた。



(既にコロンボは攻略。

中部太平洋の哨戒線も構築されつつある。

米機動部隊は南太平洋にゲリラ空襲をしかけるので

精一杯だ。それは航空戦力はまだまだこちらが

優勢であることを意味している。


さて、次は…)



しかし、真田のプランは

ある一本の電話で打ち砕かれることとなる。


「真田中佐、軍令部よりお電話です!」


真田は電話室へ向かい、黒い受話器をとった。

相手は福原徳大佐。

今は亡き正樹のおじ、孝幸の元部下であり、

第二航空戦隊参謀などを経験し、今は

軍令部第一課長の職にある。


『もしもし、久しいな、真田中佐。』


「福原大佐!ご無沙汰しております。

本日はどのようなご用件でしょうか?」


しばし間があった。

その異端な雰囲気に真田は嫌なものを感じとる。





『すまない、真田中佐。

MO作戦の実施が決まった。」


真田は愕然とした。

MO作戦とは、南太平洋のポートモレスビーを

攻略する作戦であり、一時期軍令部で

米豪遮断作戦のひとつとして考えられていた。


元々軍令部は漸減邀撃に変わる新しい

戦略として、アメリカとオーストラリアを

分断するという米豪遮断作戦を考えていた。

しかし、日本に南太平洋での戦線を維持できるほどの

補給力がないこと、米豪を分断したところで

彼らが大きく戦力を低下させる要因にはならない

などの理由から廃棄されたはずだった。


そのMO作戦が今になって発動するとは、

どう考えてもおかしい。


『本当に申し訳ない…。

第一部長の福留中将と山本長官の強い要望が

あったのだ。』


「お待ちください!今、山本長官、と?」


そんなはずはない。

山本長官は真田の提案したインド洋方面作戦に

全力を注ぐと約束してくれていたのだ。

その間は翔鶴型3隻を本土に残し、防衛に当てるとも。

今さらMO作戦などと言い出すはずがない。


だが、福原大佐が嘘をつくはずもないし、

第一そんな嘘は本人に確認すればすぐに

わかることなのだ。明らかに不可解だった。


「わかりました。

こちらも事実関係を確認してみます。

お忙しいところわざわざありがとうございました。」


真田は重い気持ちで受話器を置いた。


彼の知らないところでなにかが動き出していた…

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