表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
永久の戦艦 大和  作者: 呉提督
31/88

インド洋方面作戦 2

1942年 3月29日



「長官!偵察機より入電!

『我ころんぼ二敵駆逐艦2、巡洋艦1ヲ確認セリ。

主力艦ハ皆無ナリ』!」



「逃げられてしまったようですね…」


伝令からの報告に第一航空艦隊参謀長、草鹿龍之介は

吐き捨てた。

敵がこちらの動きを察知したか、

もしくは運悪く外出中だったのか。

どちらにしろ、これで敵主力艦隊が

いつ出てくるかわからなくなってしまった。



「長官、とりあえず予定どおりコロンボを

空襲しましょう。話はそれからです。」


「私も参謀長に同意です。」


航空参謀の源田実も賛成にまわったため、

コロンボへの空襲が決定した。

現地時間3月29日午前8時40分、

日本海軍第一航空艦隊の空母天城、赤城、葛城、

蒼龍、飛龍、雲龍から攻撃隊228機が発進。

1時間半後の午前10時過ぎ、イギリス軍の

拠点コロンボに空襲を行った。


この空襲で日本海軍は

イギリス軍の戦闘機13機を撃墜。

飛行場にいた38機を地上撃破したほか、

停泊していた旧式駆逐艦2隻、巡洋艦1隻、

輸送艦4隻を撃沈破。

空襲は完全に成功をおさめた。



「攻撃隊より入電!

『我攻撃二成功セリ!二次攻撃二ヨリ飛行場ヲ

完全破壊サレタシ』!」


この入電に源田は迷った。

この後、セイロン島北部のトリンコマリーにも

空襲を加えなければならない。

だが、敵艦隊の動向はつかめておらず、

未だ偵察機からの入電はない。



熟考の末、源田は残った機体に

爆弾を付け、コロンボへの二次空襲ならびに

トリンコマリーへの攻撃を行わせることを

決断。南雲もこれを了承した。



「待機中の機体はすべて対地爆弾に

転換せよ!」


天城ら第一航空戦隊の空母3隻では

魚雷や対艦爆弾を対地爆弾に換装が

行われ、混乱が生じた。


さらに、転換開始からおよそ1時間後、



「大変です!偵察機から、入電!

『敵艦隊見ユ!空母1、重巡洋艦2、駆逐艦4!』」



「なんだと!?」


飛龍の偵察機に発見されたのは

旧式空母ハーミーズ、重巡ドーセットシャーとコーンウォール、

日本軍のコロンボ空襲を察知し、

撤退している部隊だった。


「長官!ただちに換装を中止し、

対艦兵装へ戻しましょう!」


「山口司令官より発光信号!

『直チニ攻撃隊発進ノ要アリト求ム』!」



ここでまたしても機動部隊司令部に

迷いが生まれた。

確かに山口の言うとおり航空戦は

先手必勝だ。

先に攻撃するのがセオリー。

しかし、今の対地装備で攻撃したところで

損害は与えられても撃沈はできない。

それではせっかくの攻撃が無駄になるのではないか…


そんな中、上空直掩の零戦隊が補給を

要請し、さらにコロンボ攻撃隊が

あと30分で帰還するなどの状況が重なり、

司令部はいよいよ大混乱に陥った。


「まず零戦隊の補給を!次に攻撃隊を収容!

収容した攻撃隊に魚雷を装備させましょう!」



結局、この源田の意見に司令部は

傾き、まず零戦隊の補給が行われた。


すると、


「再び雲龍から入電!

『我攻撃準備終了セリ。攻撃許可ヲ求ム』!」


「早すぎないか?」


草鹿や南雲の疑問も無理はなかった。

実は山口は蒼龍と飛龍の航空機だけ兵装転換し、

雲龍の航空機は対艦装備のまま残しておいた

のである。

連合艦隊司令部からは対艦装備機を常に

残しておくようにとの指示があった。

山口は南雲司令部と連合艦隊司令部、

両方に逆らうことのないように調整したのだ。


「長官、いかがいたしましょう?」


「構わん。やらせろ。」


許可をもらった雲龍からは

次々と攻撃隊32機が発進していく。

九七式艦攻の腹には魚雷が付けられており、

源田たちを驚愕させた。



この山口の活躍もあり、

日本軍は正午過ぎ、イギリス軍東洋艦隊に

空襲を仕掛け、空母ハーミーズに

5発の命中弾と2本の命中魚雷を得た。

ハーミーズは急速に左に傾斜し、

午後1時半に沈没。

重巡ドーセットシャーとコーンウォールは

ハーミーズ乗務員の救助に当たっていたが、

救助が終了した午後3時、

第二次攻撃隊94機に捕捉攻撃され、

2隻とも沈没した。

また、護衛の駆逐艦も1隻が沈没。

残った3隻は沈没艦の乗務員を救助し、

東洋艦隊主力が待避した

モルディブ諸島のアッドゥ環礁へ

撤退した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ