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永久の戦艦 大和  作者: 呉提督
29/88

夢の装甲空母


「ふぅ〜やっと着いた。」


「長かったですね〜」


真田と京子は汽車に3日ほど揺られ、

呉に到着した。

汽車と行っても真田は優先的に一等車を

取れるため、中々快適ではあった。


呉に到着してすぐ、真田は荷物の整理を

京子に押し付け、呉の造船所へと向かった。


「通行証をお出しください。」


入り口でふたりの兵に止められる。

目付きといい、体格といい、よく訓練されている。

真田はあらかじめもらっていた通行証を提示した。


「真田正樹中佐でございますね。どうぞ」


ふたりが真田に敬礼し、真田もそれを返す。

3月の呉は暑すぎず寒すぎずちょうどよい気候だった。


造船所に入り、真っ先に監督室へと向かう。


「お久しぶりです、牧野さん。」


「真田さん!お待ちしておりましたよ!」


牧野が相変わらず優しい笑顔で迎えてくれた。

そのとなりにはひとりの中年の男の姿がある。


「貴方は…」


「福田啓二だ。艦政本部第四部主任をしている。」


その名前は真田も聞いたことがある。

帝国海軍の多くの主力艦の建造を手掛けた男で、

平賀と同じく造船の神様と呼ばれている。


「今福田さんにA-150の設計を見てもらっていたんです。」


「なるほど」


「A-150は素晴らしい戦艦だね。

ただもう少し小さくしたほうがよかったのではないかな?」


船は小さければ小さいほど燃費がよく、

被弾面積も小さく済む。

また、装甲を増やすこともできる。

福田が武蔵型設計の時に小型化にこだわったのも

そこにあった。


しばらくA-150の話をしたのち、

福田は真田に新しい空母の設計を教えてくれた。


「上(海軍上層部)からの命令は沈まない空母だったね。

私も牧野君と同じように、水上艦の弱点は

水雷防御だと思っている。


そこで、多少の速力を犠牲にして水雷防御力を

上げ、艦載機の格納数を減らす代わりに

飛行甲板に装甲を追加する。

また、格納庫も現在の密閉式から

解放式に変える。


だいたい500ポンド爆弾(約250kg爆弾)の

急降下爆撃にも耐えうるようにするつもりだ。

艦載機搭載数は56機を予定しているが、どうかね?」



真田が驚いたのは密閉式から解放式への

転換だった。

日本に解放式空母はない。よって0からの建造となる。

また、例え建造したとして、それが成功するかは

わからない。まさに山本長官好みの大博打だ。



「今から建造して、いつ頃完成する予定でしょうか?」


それを聞くと福田は小さく笑った。


「実は既に起工式を終えて建造に入っている。

まだ手探りの状態ではあるが、3年以内の完成を

目指しているよ。」



真田は体の底から沸き上がるものを感じた。

日本にはこんなに素晴らしい技術者が多数いたのか。

この人たちの英知の結晶を使って作戦を立案できるなど、

なんて幸運なことだろうか。


「よろしくお願いします、福田さん。」


ふたりはガッチリと手を握りあい、

硬い握手を交わしたのだった。

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