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永久の戦艦 大和  作者: 呉提督
26/88

Z部隊撃滅戦 3

1942年 1月7日 午前6時、

サイゴンの第二十二航空戦隊から偵察機10機が

発進。

ほぼ同じ頃、南遣艦隊の空母龍驤からも

九七式艦攻3機が偵察に飛び立った。


一方のZ部隊もインドミタブルの

ソードフィッシュ5機を偵察に送り出していたものの、

友軍からの誤報に振り回され、午前9時に撤退を決断した。


日本軍は午前11時、二十二戦隊の一式陸攻が

南東方面に向かうZ部隊を発見。

全軍に位置、進路、陣形を打電した。


しかし、インドミタブルの戦闘機に邪魔され、

接触を保つことはできなかった。


午前11時30分、龍驤より第一次攻撃隊が発進する。

零戦13機、九七式艦攻12機の計25機である。

零戦5機は艦隊防空のため、龍驤に残された。




12時08分、龍驤の攻撃隊がZ部隊上空に

到着。

Z部隊はインドミタブルのフェアリーフルマー19機が

これを迎撃した。


しかし、パイロットの腕は日本側が圧倒しており、

戦闘機の性能差も相まって、

フェアリーフルマーは9機が瞬く間に撃墜された。

零戦の喪失は1機だった。


その後、フェアリーフルマー10機は零戦12機との

戦闘に忙殺され、九七式艦攻を攻撃する余裕など

なかった。

九七式艦攻12機はインドミタブルただ一隻に狙いを

定め、超低空から魚雷を投下、2本が命中した。


左舷に魚雷2本を受けたインドミタブルは

出しうる速力が11ノットまで低下。

多量の浸水を招き、艦隊行動が不可能となった。

トーマスフィリップス提督はインドミタブルに

駆逐艦2隻を付け、主力とは別行動で

シンガポールに戻るように命じた。


この2時間後、インドミタブルは

日本軍の伊号潜水艦に雷撃され、

魚雷3本が新たに命中。撃沈されている。



空母を失い、制空権を喪失したZ部隊に

二十二戦隊の美幌隊、元山隊が襲いかかったのは

午後1時10分頃。


Z部隊のトーマス提督は

日本の攻撃機がこれだけの長距離を、

しかも魚雷を抱えて飛んでくるとは

思ってもいなかった。


プリンス・オブ・ウェールズの乗組員も

それは同じであり、魚雷を投下されて

初めて雷装だと気がついたほどである。



「て、敵機魚雷投下!

左舷より5本!命中コースです!」



午後1時15分、ウェールズの左舷中央部と左舷後部に

魚雷命中。

この後部に命中した魚雷は機関室を浸水させ、

電源喪失、応急排水装置、操舵装置を破壊し、

ウェールズに深刻な被害を与えた。


レパルスはテナント艦長の巧みな操艦で魚雷を

かわし続けていたが、午後1時55分、

遂に鹿屋隊が投下した魚雷3本が命中。

速力が低下したところにさらに魚雷4本が命中。

午後2時10分、沈没した。



ウェールズにも同じ運命が迫っていた。

午後2時10分、左舷前部と中央、そして右舷後部に

計3本の魚雷命中。

ウェールズは艦尾から沈み始めた。

既に機関室は火災で放棄されており、

航行は不可能だった。


トーマスフィリップス提督は退艦を促す幕僚に

「ノーサンキュー」と

答えたという。


午後2時48分、ウェールズ沈没。

乗組員の多くは駆逐艦に救助された。


こうして日本軍は東南アジアから連合軍を駆逐し、

資源地帯を確保した。

そしてこの海戦は作戦行動中の戦艦が航空機に

沈められた初めての事例となった。

それは戦艦の時代の終焉を示すのには

十分であった。

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