真珠湾上空、敵影なし!1
更新遅れました。
理由は活動報告に書いたとおりです。
3月は更新早くします…
1942年 1月4日 06:31 (ハワイ時間)
雲が見え隠れする冬の太平洋の空。
雲量は6で、視界も良好とまではいかなくとも
決して悪くない。
日本空母天城を発艦した攻撃隊隊長の
淵田美津雄は、後を付いてくる列機の姿を
もう一度確認した。
抜け落ちはない。
空母を発艦してからハワイまでは
およそ1時間45分の道のりである。
それまで敵の戦闘機や哨戒機に見つからないよう、
細心の注意を払わなければならない。
攻撃隊は二次に分かれており、
一次は一波と二波で役割を分けている。
まず、第一次攻撃隊一波が
ハワイオアフ島のほぼ中央にあるホイラー、
南方にあるヒッカム、両陸軍飛行場を
急降下爆撃ならびに水平爆撃で完全に
無力化。
続いて二波が真珠湾に突入し、
米空母、米戦艦へ雷撃。
第二次攻撃隊は真珠湾の港湾施設の粉砕と、
虫の息となっている艦船への介錯が
主な任務である。
一波が発艦した20分後には
二波も発艦を開始しており、各空母艦内では
第二次攻撃の準備が行われている。
・・・・・・
1942年 1月4日 07:48 (ハワイ時間)
空母を飛び立っておよそ一時間半。
雲の切れ目を抜けた淵田機は眼下に
真珠湾を捉えた。
「隊長!真珠湾です!」
なんと美しい島だろう。
年中常夏のこの島は1月でも緑が広がり、
マリンブルーの海には太陽光が反射し、
キラキラと輝いている。
「上空に敵機は見えるか!?」
「いえ、いません!」
「よし!」
同時に後部座席の電信員がキーを叩いた。
『真珠湾上空二敵影無シ!真珠湾上空二敵影無シ!』
攻撃隊は2手に分散する。
水平爆撃隊は高度を1500まで下げ、
急降下爆撃隊は高度3000まで上昇する。
「全軍突撃せよ!繰り返す、全軍突撃、
米艦隊を粉砕せよ!!」
休む間もなく、電信員がト連送を行う。
全軍突撃の合図だ。
真珠湾上空にまんまと侵入した日本軍機
186機は、ホイラー飛行場に殺到、
一斉に爆撃体勢に入った。
「目標、P39隊列!投下!」
淵田機の投下した爆弾は
P39をスクラップに変えてしまった。
ここに、日米戦争の火蓋が切って落とされたのである。