Aー150
1939年 8月下旬
2ヶ月の歳月を経て、ついに
極超弩級戦艦改めAー150戦艦の
設計が終了した。
その後、牧野、幸助、正樹らの議論に
よって、新たに
高射装置と聴音機が搭載された。
これにより、対空射撃は防空指揮所で一元化され、
効果的な弾幕射撃が可能となった。
また、当初不採用としていた副砲も
対空射撃や小型艦への対処など、メリットが大きいことから
搭載することが決まった。
以下、要目である。
Aー150戦艦
全長302m
全幅42,9m
基準排水量10万9000トン
満載排水量12万0000トン
機関:ディーゼルタービン
出力:260000馬力
最大速力:30ノット
兵装
主砲:45口径51cm連装砲4基8門
副砲:60口径15.5cm三連装砲2基6門
対空兵装:10cm連装高角砲18基36門、高射装置連動
25mm三連装機銃多数
対空電探(21号、13号)
対水上電探(22号)
零式聴音機
正樹はこの計画書を
ただちに軍令部次長、佐久間京司少将の
元へと届けた。
佐久間は孝幸の元部下で、扶桑型の改装を
手伝った人物であり、戦艦への
思い入れも深かった。
ただし、計画書の主砲は"50口径46cm"と
なっている。
主砲はいわば軍機に当たるトップシークレットであり、
ただしい大きさは牧野と正樹しかしらない。
これを見た佐久間の反応は、
「これは素晴らしい!」
の一言だった。
彼はすぐにこの戦艦の建造を上層部に
具申すると約束してくれた。
・・・・・・
その夜、
とある人物が佐久間の部屋を
訪れていた。
「これがその、新型戦艦か・・・」
正樹が提出した計画書をうっとりと
眺めるこの人物こそ、海軍きっての大艦巨砲主義者
宇垣纏である。
この宇垣はのちにAー150戦艦と
深い関わりをもつこととなるのだが、
それはまだ先の話である。
こうして軍令部は新型戦艦の建造に
前向きな姿勢を示した。
しかし、本当の苦労はこれからはじまるのだった。