表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
永久の戦艦 大和  作者: 呉提督
12/88

山積みの問題

1939年 夏



今年の夏も暑い。

毎年恒例のセミの大合唱の中、

正樹は自宅でひとり頭をひねっていた。



(呉のドック拡張に主砲弾の揚弾機、

それに予算・・・

いくらかかるんだ・・・?)



一号艦の場合だと、一隻でおよそ1億3000万円

(当時の価格)である。

極超弩級戦艦となると、その倍以上、3億はかかるだろう。

海軍の年間予算がだいたい9億円なので、

実に1/3がこの戦艦に消えることになる。


そして、彼が最も危惧しているのが、

航空主兵論者たちの反対であった。


山本五十六ら航空主兵派は

航空機の発達とともに発言力を増し、

航空機を専門とする人間も多くなってきている。


海軍は十二試製艦上戦闘機(のちの零戦)の

開発を進めており、来年には実践配備される

予定だ。

こうなると、戦艦無用を唱える人間が多くなり、

予算獲得は難しいものとなるだろう。


空母についても同じことが言えた。

1934〜35年頃の海軍マル2計画において

建造された雲龍型空母(史実の蒼龍とまったく同じ)3隻は

全艦が無事に竣工。

一番艦は雲龍、二番艦は蒼龍、三番艦は飛龍と

命名され、現在は三田尻沖で訓練を

行っている。


正樹はこの訓練を見たことがある。

少し前に、叔父孝幸の元部下、福原徳大佐の

案内で空母雲龍に乗艦した。

福原は孝幸の勧めで航空を専門に学び、

今は二航戦の参謀を勤めている。


間近で航空機が唸りをあげて発艦し、

美しい編隊を組んで飛ぶ姿に

彼は魅了された。



このように、航空機を主力する

考えが海軍内で台頭しており、

マル3計画では新たに翔鶴型空母3隻の建造が

計画され、6月にはその一番艦翔鶴が進水した。




だが、正樹は航空機の発達を認めつつも

戦艦が必要であるという考えも捨ててはいない。



(空母は確かに戦艦よりも早く、射程も長い。

だがその攻撃力は搭乗員の実力に依存し、悪天候時や

夜間は戦闘ができなくなる。

さらに航空燃料を満載し、装甲も薄い。

巨大な火薬庫だ。

爆撃を食らえば一瞬で火だるまになる。

その分戦艦は重装甲で悪天候にも強い。

やはり戦艦も必要だ。)




そんな中、彼の頭にふと、ある人物の

顔が浮かんだ。


「そうだ!あの人なら・・・」


こうなるといてもたってもいられない。

正樹は服を着替えて家を飛び出したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ