第16話 吸血鬼姉妹と友達になれました。
どーも、まーりんです!
こちらもお久しぶりです。
4年ぶりの更新になります。またノロノロと更新していきますのでよろしくお願い致します。
物語は紗稀の歓迎宴会の途中という事で…
それではゆっくり見ていってね!
紗稀の宴会に来た人達をなんとか神社に入れ、今は霊夢が紗稀を皆の前で紹介している所だ。
「ってことで…この子のための宴会なんだから…好き勝手やるんじゃないわよ!いいわね!?」
「「「「やー!」」」」
「よろしい。んじゃとりあえず乾杯するわよ!」
「霊夢の音頭なんて聞き飽きたぜー!ここは紗稀の音頭で乾杯だろ!」
魔理沙の一言により皆の視線は一気に紗稀に降り注がれる。
「…え?わ、私…!?」
「ちょっと魔理沙…!紗稀の人見知りっぷりをナメんじゃないわよ…」
「例え変な音頭だったとしてもコイツらのことだ、どーせ可愛いって言われて終わりだぜ。」
「…なるほどね。んじゃ紗稀、よろしく。何か適当に挨拶すればいいだけだから。」
魔理沙だけでなく霊夢にも任されてしまった。逃げたくても逃げ出せる雰囲気ではない。
「紗稀ー!がんばれー!」
「そうだぜー!噛みまくっても友達出来るから安心するんだぜー!」
「か、噛まないもん!」
「フフッ…ゆっくりでいいわよ。頑張ってね。」
萃香に魔理沙、そして霊夢の応援を受けた紗稀は少々赤くなっている顔を皆に向けた。
「え、えと…きょ…今日は来てくれてありがとうございます…!み、皆と友達になれるように頑張りたいと思ってるので……ゆ、ゆっくりしていってね!」
「「「「やー!」」」」
「か、かんぱーい!!」
「「「「かんぱーい!!!」」」」
紗稀が噛まなかったことに少し残念そうにする魔理沙、紗稀の音頭を母親のように見守っていた霊夢、何事も無く音頭を終えられてホッとする紗稀、そして集まった皆は一斉にお酒を煽るように飲む。もちろん紗稀はジュースだが。
「っはぁ!いやぁ…良かったわよ。」
「ん…えへへ…」
照れながらはにかむ紗稀を撫でながら霊夢は微笑みかける。
「フフッ…さて、後は勝手にアイツらが絡んで来ると思うから…プラプラしてるといいわ。」
「うん。あ、でもトイレ行きたくなっちゃった…」
「…まさかとは思うけど…緊張しちゃったから?」
「…うん…」
「…子供ねぇ…」
「…うるさい…」
「…スッキリした。」
トイレを済ませた紗稀は縁側を少しフラフラしていたのだが…夜空を見上げている少女を見つけた。
「……あれ…?」
少女は小さな身体に似合わない大きな羽を背中に生やし、ナイトキャップを被っていた。
「…ん?あら…噂の紗稀ちゃん。」
紗稀の声に気付いた少女は紗稀の方に振り向き、笑顔で紗稀に語りかけた。
「えと…七瀬紗稀です。その…つ、翼…?大きいですね…」
「あぁ、これ?これね、吸血鬼の羽よ、翼でもいいけど。あぁ…言い忘れてたわ…私はレミリア・スカーレット。れっきとした吸血鬼よ。」
「吸血鬼…!ヴァンパイアだ…!」
これも本で読んだ情報だろう。伝説だと思っていた事が現実になると…上手く驚けないらしい。
「んん…?まぁそうね。ってか夜の吸血鬼にホイホイ話しかけちゃダメよ?危ないんだから。」
「…へ?」
まさか注意をされるとは思っていなかった紗稀はポカンとした表情を浮かべている。
「いい?吸血鬼ってのは夜、人々を吸血するの。例えば…私が悪い吸血鬼だったら…紗稀の血をチューチュー吸ってミイラにしちゃってるわよ?」
「でも…私ミイラになってないよ?」
「例えばの話よ。それにしても…紗稀はおかしな子ね。」
唐突に話を切り替えられ、紗稀はまたまたポカンとしてしまう。
「…へ?」
「霊夢に魔理沙に萃香に紫…更には慧音やら何やらまで。マトモな奴が誰1人いない。」
「…霊夢は優しいもん。魔理沙だって萃香さんだって紫さんも慧音さんも皆友達だよ?」
「もちろん。あなたの友達を否定するつもりはないわ。私だって吸血鬼だもの。だけど…人間のあなたからしたら化け物揃いよ?」
そう言われて紗稀はハッとする。確かに言われて見るとマトモに人間と言える人はいないだろう。
「…人里のおじちゃん達しか人間いない…」
「まぁ紗稀は友達の種族を気にしたりしない子だとは思うけど。」
「うん。だって私もマトモな人間じゃないもん。」
それは周りの人達がマトモじゃないからなのか、それとも紗稀自身に何かがあるのか。気になったレミリアは紗稀に問いかける。
「…どう見てもマトモにしか見えないんだけど?」
「さっき霊夢と言ってたけど…私は死にかけの状態で幻想郷に来たの。でも今は何もなくて…」
「なるほど。幻想入りすること自体が珍しいのに…病気まで治ってるのがマトモじゃないってことよね。」
「うん。でも…マトモじゃなくたって…霊夢みたいな家族だって…レミリアさんみたいな友達だって出来るんだもん。へーきへーき!」
ピースをしながら平気だと言う紗稀。しかし強がりなどでは無く、心から安心しているように感じられる。
「……あなたは強い子ね。私の妹にも見習わせたいくらい。後、私のことはレミィでいいわよ。」
「…妹…?レ、レミィって妹いるの?」
「まぁね。フランドールって言うんだけど………って…ちょうど良く来たわ。」
レミリアが見ている方向を見ると、そこにはレミリアと同じくらいの身長をした少女が歩いて来ていた。羽は宝石のような者がついているモノであり、どうやって飛ぶのか不思議な羽だ。
「紗稀ちゃ〜ん!」
「…呼ばれてるわよ。」
「あれ、お姉様。お姉様も紗稀ちゃんと話してたの?」
フランドールと呼ばれる少女はレミリアとは違い、見た目通りの子供らしさをしている。
「…まぁね。それよりどうしたの?霊夢が紗稀を呼んでいたとか何か?」
「んーん。私も紗稀ちゃんと友達になりたくて。それで紗稀ちゃんを探してたの。」
「え……と、友達になってくれるの?」
思いがけない言葉である。自分からお願いしようとしていた事を相手から言われるのなら好都合だ。
「うん!紗稀ちゃん可愛いし、歳が近い友達が欲しかったんだ〜!」
「フラン…紗稀はあなたみたいに495歳とかじゃないわよ?せいぜい…14、5歳とか?」
「うん。14歳だけど…フランちゃんって……え?そんなに年上だったの…?」
「そうだよ。まぁ…歳は違ったけど仲良くなれそうだし、友達になろっ?私のことはフランって呼んでくれると嬉しいかな!」
満面の笑みで手を差し伸べられた紗稀はフランと同じように笑顔になり手を取った。
「うん!よろしくねフラン!」
「フフッ…さて、私は少し霊夢と話してくるわね。2人はここでのんびり話してるといいわ。」
「ん。ありがとお姉様。少しの間だけ紗稀ちゃんを独り占めさせてもらうね。」
フランの言葉に微笑みながらレミリアは宴会会場に戻って行った。
「…フラン…?」
「ん〜?どうしたの?」
「綺麗な羽…触ってみてもいい…?」
「羽?いいよ〜じゃあ…ギュッてしよっか。」
後ろを向けば羽を触らせてあげられるのだが、フランは紗稀を正面から抱き締め、紗稀の顎を自分肩に乗せさせた。
「わっ…!」
「えへへ、どう?これならバッチリ見えるでしょ?」
「う、うん。そ、それより…フラン…あったかいね。」
フランのサイドテールに身じろぎしながらフランの暖かさを感じる。
「そうかなぁ?少しお酒飲んだからから…?でも紗稀ちゃんもあったかいよ。」
「お互いあったかい……あ、私のこと…紗稀って呼んで…」
「ん。分かった。んじゃ触ってもいいよ、紗稀。」
「うん…じゃあ……」
紗稀はフランの背中に手を回し、羽を触ってみる。すると紗稀に自覚が無くても紗稀がフランを抱き締めているように見えるのだ。フランはこれを狙っていたのかもしれない。
「私もね、自分の羽が結構好きなんだ〜最初は嫌いだったんだけどね。」
「え…?こんなに綺麗なのに…?」
「うん。だってさ…カッコよくは無いじゃん。キラキラしてるけど…お姉様みたいに大きくて、吸血鬼みたいな羽じゃないから。」
「…でも今は好きなんでしょ…?」
「まぁね。お姉様が好きって言ってくれたから。私の羽を見て、好きだって。」
褒められることで自信がつく…紗稀にも経験があることだ。いや、幻想入りしてからはそればかりだった。紗稀はフランの肩で大きく頷いた。
「…分かる。自分の中だと嫌で…嫌いなのに…少し褒められただけで好きになっちゃうんだもん。」
「そうだよねぇ。んじゃ紗稀も何か自分の嫌いな事があったの?」
「…正直…全部だよ。昔っから人見知りで…意気地無しで…いつもオドオドしてるし…身体が弱いから友達も出来なかったし。私は私の全てが大嫌いだったんだ…」
フランの羽を触りながら過去の自分を蔑む紗稀。出会ってばかりのフランであったが、今の紗稀は昔の紗稀とは違っているような気がした。
「ん…私もさ、紗稀には家族がいなかったって事しか聞いてないから…偉そうには言えないけど…」
「うん。聞かせて?」
「今の紗稀には霊夢って言う家族がいる。友達だっている。人見知りかもしれないけどそれを可愛いって思う人もいる。オドオドしてるのだってね。」
「…フランは…私の事…どう思う…?」
「どう思うって…今言った通りだよ。出会ってすぐに分かるくらい紗稀はいい子だし、可愛いし、私のモノにしたいくらいにね。」
フランは冗談で略奪を仄めかす発言をしたが、紗稀はそれを本気にしてしまう程純粋なので、困りながらもフランに返事を返す。
「…霊夢のだから。」
「…へ?」
「私、霊夢のだから…ごめんね。フランは大切な友達だけど…フランのモノにはなれないよ…」
「むぅ…流石霊夢だなぁ。こっそり狙ってたのに…フラれちゃった。」
フラれたと言われると少し心が痛くなるが……どうしても紗稀は霊夢から離れたくないのだ。仕方が無い。
「…ごめん。」
「そんな謝る事じゃないってば〜!紗稀と友達でいれるだけでも嬉しいよ。」
そう言ってフランは立ち上がる。それに反応してか、紗稀がフランに問いかけをする。
「…どうしたの?」
「あんまり紗稀を独り占めしてると周りから怒られそうだからさ。今のとこは退散。紗稀、またゆっくりお話しようね。」
「え、あ…うん…」
「そんな悲しそうな顔しないでよ…」
また座りたくなってしまうフランである。しかしここは我慢しなければ。
「…また…来てくれる…?」
「もちろん。今日の間はずっとここにいるし、私のお家にもおいでよ。霊夢と一緒にね。」
「うんっ!行きたい!わぁ〜、早速霊夢に言ってくる!ねぇフラン、明日行ってもいい!?」
そう言うなり颯爽と立ち上がり、宴会会場に戻ろうとする紗稀。さっきの悲しげな顔はどこへやら、今はもう楽しさが溢れんばかりの笑顔だ。
「えっ?あ、明日?それはどうかなぁ…」
「あ、レミィにも聞いてみないとだね!フラン、行こっ!?」
「全く聞いて無いし……フフッ、分かったよ、行こう行こう。」
幻想郷の住人からしたらフランは子供だと言われるはずだが…まさか自分がお姉ちゃんのような扱いを受けるとは思ってもいなかった為、フランは少し新鮮な気持ちで紗稀の後をついて行った。
どーも、まーりんです!
久しぶりすぎて女の子の書き方忘れた。
さて、そんなことより次回のテーマ。
次回は…お花と過去と未来。
それでは次回もゆっくり見ていってね!




