神様……みたいな子
勝手に若奈ちゃんと心の中で呼ばせてもらっていたのがバレてしまった……。
またまた恥ずかしくなってきたんですけど……。
「ご、ごめん……。知ってるの名前だけで……」
「あ、そうなの?名前だけってのもまた珍しいな」
「ご……ごめんなさい……。若奈ちゃんは私の苗字知ってくれていたのに……」
「わわ、そんな今にも死にそうな顔しない!私すぐ覚えるだけだから!白川さん気にしすぎ!」
若奈ちゃんって優しいなぁ……。
私はしみじみとそう思う。
こんな優しい子、私久しく会ってないかも……。
ああだめだ……。
自分が色々とダメすぎて、若奈ちゃんがどんどん天使に見えてきたかも……。
「白川さんって、名前、柚だっけ?」
「あ、うん」
「じゃあ私、今から柚って呼ぶからね?柚はそのまま若奈でいいから」
「ゆっ!?え!?」
「異議は認めませーん」
そう言って、若奈ちゃんはニコッと笑った。
…………。
この子は本当に、神様……みたいな子だ……。
今日、先生に捕まってよかった。
若奈ちゃんという人を少しでも知ることができた。
そして、私にもとうとうクラスメイトの友達、という関係の人を作ることができたんだ。
「あ、じゃあ、若奈、ちゃん……」
「若奈でいいよ」
「っ!?……わ、若奈。一つ、聞いていい?」
「ん?」
なになに?と若奈、はわくわくとした表情で私を見る。
それに私は一呼吸おいて尋ねた。
「……名前!……っていうか、苗字、教えて?」
若奈は「あ、そっか知らないのか」と笑って、私に教えてくれた。
「かみしろ、だよ」
「……どう書くの?」
「神さまの『神』に、代表の『代』で神代」
神代若奈――――。
心の中でその名前を反芻する。
不思議と耳に馴染む、そんな名前に、私は……――。
「神、かぁー」
「縁起のいい名前でしょ?まあ実際名前負けしてるんだけど……」
――根拠はないけれど、これからの人生が大きく変わりそうだと、そんな予感を心の片隅で密かに感じていたんだ。