1-3不快な羽音
三霞島は→みかじま 只木→ただき と読みます
朝野は明らかにおかしい死体を見てこう思ったのだ。
彼女はいくつかの外科手術を請け負ってきた。
中には重体の患者もいたであろう。
だが根本的に違ったのだ。
あまりに見苦しい死体、体中からこの事件に関わるなと感じていた。
朝野は絶句した。だか三霞島はものともせずまじまじ見ている。
朝野「...」
三霞島「ほら、何している、ただ死体を見ただけだろう。」
朝野「何って...どれだけ無関心なんですか!」
その朝野の声に近くにいた警察官が駆けつける
警察官「何しているんですか!」
三霞島「どうもすみません、ジャーナリストの長谷川と申します。これ、名刺です。」
警察官「どうもご丁寧に、私は巡査部長の片岡と言います」
片岡「ただ今ちょっとした事件がありまして..」
三霞島「そのことなんですが..どう説明するつもりですか?」
三霞島「世間にあの死体をどう説明するんですか?」
片岡「....」
朝野「..私は医者をやっているんですが...あのような死体は見たことありません」
片岡は重い口を開いた
片岡「捜査内容を喋ってはいけないのですが..。」
片岡がいうにはこういう事らしい。
男を切った刃物、あるいは手がかりを見つけるために山中を探していた時のことであるそうだ、3班に分かれて捜索していたところ、1班の方角から悲鳴が聞こえて駆けつけたところこのような惨事になっていたのことだ。
片岡「これで以上です。用がなければ帰ってください。」
三霞島「あと一つだけ、これ以上捜査を続けるとさらに死人が出ますよ」
片岡「...そのように伝えておきます」
私はある親近感を抱いた、過去の自分と重ねてしまったのだ
彼には私のようにはなってほしくない、そう切に願った。
正気度判定
場面は変わり旅館ロビー
朝野「見慣れているんですか?その..死体」
三霞島「まぁ死体より酷いもの見てきたからな」
朝野「これからも見るんですかね..死体」
三霞島「それがないように私ががんばりますよ」
朝野「次はどこに行くんですか?」
流石医者だ、死体を見ても切り替えが早い
三霞島「次は男性二人の遺族のもとへ行こうと思う」
朝野「段々捜査らしくなってきましたね!」
三霞島「能天気に行動するとあの死体みたいになるぞ」
朝野「それは困りますけど..」
三霞島「それはそうと..すまん電話だ」
相手は先ほど解析を頼んだ只木だった。
只木「たった今できたよ、ちなみに音は3時頃にあるねそう虫がはばたくような音だったよ。それに何か映るかなと思ったけど何も映らなかったよ」
三霞島「そうか..ありがとうこの短時間でよくやってくれるよ本当に」
只木「それで見当はついたのかい?今回の相手」
三霞島「あぁ大体見当はついたよ」
只木「というと?」
三霞島「ミ=ゴだよ」
...
....
.....
三霞島「じゃあ行こうか」
朝野「誰からですか?今の電話」
三霞島「腐れ縁だよ」
時刻は11時、町を巡るには足がいる、
車をレンタルすることにした。
場面は変わり車内
朝野「あの..」
三霞島「....」
朝野「聞いてますか?」
三霞島「あぁすまないどうした?」
朝野「その..三霞島さんは何でそんなに物知りなんですか?この事件に関して」
三霞島「警察を辞めてから1年ほど闇雲に探し回ったんだ」
朝野「今回の事件のような?」
三霞島「そう、そして私はこの手のことに詳しい女性に会った」
三霞島「それから私はその女性にたくさんのことを教えてもらった。」
三霞島「師匠のような..姉のような..厳しい人だたよ」
朝野「師匠ですか..」
三霞島「もう着くぞ」
何故だろうか、今日は思い出に浸ってしまう
生まれは至って普通の家だった。
たくさん勉強して警察にも入れた、それを喜んでくれる人もいた、
突然姿を消して家族には悪いことをしたなと思っていた。
だがもう今は会うことすら叶わない、あいつは全てを奪ったのだ。
朝野「先行きますね?」
三霞島「あっあぁわかった」
朝野「ってお隣さんだったんですか」
三霞島「そうみたいだな」
家が隣どうしだけあって男性二人は友達だと容易に想像できた。
片岡「...どうも」
警察官の片岡を含め3人の警官を見かけた
警官A「片岡知り合いか?」
片岡「先ほどの捜索の時に来られていたジャーナリストさんです」
警官B「見られたのか!?あの死体を?」
三霞島「えぇ見ましたよ」
三霞島「亡くなった男性二人の遺族に話を聞こうと思いましてね」
警官A「そういう事なら帰ってください」
三霞島「嫌ですよここまで来て」
朝野の信用、説得
...
....
.....
信用失敗、説得成功
朝野「私たちだってあんな物見たんです!」
朝野「どうしたって説明できないでしょう!」
朝野「私たちにも協力させてくださいよ!」
朝野「警察にだって探偵とか雇ったりするんでしょう?」
朝野「私たちも協力しますよ!」
警官A「...わかりました、ただ二つほど条件を」
警官B「おいいいのかよ手伝わせて」
警官A「私たちの常識を超えた事件です。少しでも手がほしい」
警官A「これからの捜査にはこの片岡も同行します」
警官A「あともう一つは遺族の方たちの会話には私たちも同行します」
三霞島「わかりました、その条件でお願いします」
ピンポーン日本らしいチャイムだ
ちなみに遺族二人の苗字は吉野、吉村さん宅だ
まずは吉野さん夫婦はとても疲れている様子だ
息子が亡くなるとやはりこうなるか..いずれなれるさ
吉野父「まだ...なにか?」
連日警察に話を聞かれているのであろう
吉野父「まぁどうぞ入ってください」
リビング
吉野父「話はなんでしょうか、もうすべて話したと思いますが..」
警官A「えっとまずはですね三霞島「息子さんは最近連日山に登っていましたか?」
警官A「ちょっと!」
吉野父「えぇ..何故それを?」
三霞島「ただの``感``ですよ感」
三霞島「そして亡くなる前機嫌がよかった?」
吉野父「確かにそうですけど...」
三霞島「事件前に家で亡くなったものはありますか?」
吉野母「いえ..特にないですけど..あなたいったいなんなんですか?」
三霞島「....ただのジャーナリストですよありがとうございました。」
警官A「どこまで自分勝手なんだ..ありがとうございました」
吉野父「えっえぇ..」
その場の全員が困惑している様子だった
三霞島「次は吉村さん宅ですね」
片岡「三霞島さん、少し周りのことを考えてください」
三霞島「何を言ってるんですか?当たり前じゃあないですか」
警官B「もう我慢の限界だよ」
警官Bの組み付き
...
....
.....
成功
三霞島の回避
...
....
.....
成功
三霞島「やめてくださいよ、面倒くさい」
警官B「なっ...」
警官Bはハトが豆鉄砲を食らったような顔をしていた
実に滑稽で私は笑ってしまった
朝野「ちょっちょっと!二人とも!」
三霞島「次、行きましょう」
次は吉村宅だ
吉村母「はい、吉村です」
警官A「すみません警察です話、いいですか?」
吉村母「..今出ます」
吉村母「今度はどのような用件で?」
警官A「今回はですね..三霞島「家に何か無くなったものはありますか?」
警官A「.....」
吉村母「たとえば?なんでしょう」
三霞島「例えばですね..大きな袋、またはキャリーバックが無くなったとか」
吉村母「..えぇ息子の遺品整理をしているときに旅行鞄が無くなっていました」
三霞島「やはりそういう事ですか..あともう一つ」
三霞島「二人とも普段から山登りはするんですか?」
吉村母「はい、吉野君と小さいころから二人でよく登っていました」
吉村母「二人が死んでしまう前は頻繁に登っていました。..」
三霞島「やはりそうでしたか...ありがとうございました」
周りは慣れてしまったのかもう何も言わなかった
今回わかったことは吉村、吉野君たちは亡くなる前は機嫌がよかった、
二人とも無くなるくなる前頻繁に山に登り旅行鞄が無くなっていた
何故いきなり鞄を?何かを持ち運ぶため?
警官A「一応聞き終わりましたね..」
警官A「ここでいったんお別れになりますが片岡をつけるので..それでは」
警官Aは無表情で、警官Bは悪態をつきながら帰ってしまった
三霞島「結構勝手な人たちだな..」
片岡「全くです」
朝野「どうなるかと思いましたよ」
ここで三人はある音を聞いた..
ぐるるると唸なった本人はすぐそこにいた
朝野だ
朝野「お腹..すきました」