第三話 能力の確認
「はぁ……はぁ…はぁ…」
血を垂れ流しながら生き絶えた熊を目の前に、俺は何が起こったのか驚きを隠せなかった。ただわかったのは熊を倒したのは俺だという事だ。手には刀身から柄まで赤黒い刀を持ち、手は熊の血で赤く濡れている。
『スキル《身体強化》を獲得しました。スキル《生命力強化》を獲得しました。スキル《威圧》を獲得しました』
まただ。機会的な声。それはRPGゲームを連想させ、まさかと思い、俺は息を呑んだ。
「ステータス」
ステータス
名前:赤崎零
性別:男
年齢:15
特殊能力:血液操作
スキル:血液強化
血液武器化
身体強化
生命力強化
威圧
「やっぱり」
ゲームの様に目の前に現れた画面。そこにはゲームの様に俺のステータスが書いてある。HPやSTRなどといった物は数値で表されていないが、その変わり特殊能力、スキルに強く惹かれた。やはり俺にもチート能力が!と思い、恐る恐る画面をタッチしてみる。
特殊能力:血液操作▼
血液を自在に操る事が 出来る。ただし、他者の血液の場合はその血液に触れる必要がある。
スキル:血液強化▼
保持者の体内血液量を増加させる。
スキル:血液武器化▼
血液を保持者のイメージにより自由に武器化させる。ただし、血液の量が足りない場合、武器化は成功しない。
スキル:身体強化▼
身体能力を強化する。
スキル:生命力強化▼
生命力を強化する。耐久力を強化する。状態異常に耐性。
スキル:威圧▼
自分より格下の者だった場合、恐怖を与え、身体能力を減少させる。
「…………」
んー……なんか微妙。折角無双出来ると思ったのにちょっと拍子抜けかな。血とか自在に操ってどうすると。でも、血液武器化は強いかもしれない。なんたって熊倒せたし。この手の刀も恐らくそのスキルのお陰だろう。問題は血を使うってところだが、血液強化で血を増やしているから安心だ。熊の攻撃で明らかに致死量の血液を垂れ流したのにも関わらず、全く異常がないのはその為だ。加えて生命力強化のお陰か、なんと傷が治り、痕が全く残っていない。今見れば、肉を切り裂かれたとはとても思えない。
けれどやっぱり純粋に身体強化が1番嬉しいかもしれない。どのくらい強化されたのかは試してみないと分からないが、これから役に立つ事だろう。威圧もまだ使い所がないが、持っている事に越した事はない。
「さて、どうすっかな」
鉄臭い臭いと下に転がる熊の死体を見て、思わず顔を顰める。しかし、このまま放置しておくのはマズイ気がする。俺は早速スキルの血液武器化を使い、身体に着いた熊の血液から剥ぎ取り様のナイフを作り出した。
「おぉー本当にイメージした通りに出来てる!」
適当にやってはみたが、どうやら上手くいったようだ。どうやらイメージが重要らしい。俺はナイフを握ると熊の解体に取り掛かった。一応鳥は捌いた事はあるが、流石に熊はない。
「んしょっ!……と」
やっぱりなかなか上手く出来ない。しかし、手早く終わらせないと血の匂いで他の動物がよってくる可能性もある。また戦闘になるのは御免なので素早く解体を済ませると骨などは地面に埋め、処理した。
「あっ……」
そこである事に気付く。
忘れていたが、俺はバックなど何も持っていない。つまり剥ぎ取った肉や毛皮を運ぶ事が出来ない。そんな事に今更ながら気付いてしまった。結局、勿体無いが全て抱えて運ぶのには無理があるので、重い肉も地面に埋め、毛皮だけ持っていく事にするのだった。