表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/4

第二話 突然の戦闘






適当に森を歩いてみて分かった事がある。


「迷った……」


辺りを見渡しても木、木、木。最初は川があればいいなーとか思っていたが、川のせせらぎさえ聞こえない。


今日の天気は快晴。それに加えて季節的に夏なのか、凄く暑くて汗が半端ない。幸いなのは森の中という事あって影が沢山ある事。しかしそろそろ水分が欲しいところだ。


「なんか無いのか?例えば無限に水が出る水筒とか、アイテムボックスとか」


よく小説であるじゃないか、主人公の食糧事情を解決するご都合主義なアイテムが。でもいくら探しても見つからない。


ここに来る前の財布や携帯なんかもない。まぁ、どうせ使えやしないが。どうやら本当に何もないらしい。神は俺を見捨てた様だ。


「さて、ガチでどうしよっか」


かなり困った。水も食糧も無いんじゃ生られない。そしたら無双出来ないじゃないか!女の子とイチャイチャ出来ないじゃないか!!



…………なんて、バカをしてる場合じゃない。このままでは本当に死んでしまう。特に水分を取らなければ、二日くらいでこの世とサヨナラする事になるんじゃないだろうか。


そんな事を考えながらも、俺は森を歩き続ける。そして出会ってしまった。


「ガァァァァァッッ!!」


それは銀色の毛を生やした熊だった。ただ普通の熊とは違い、その身長は3メートル程ある様に見える。そんな熊と目があってしまった。何で気が付かなかったんだ!と自分を罵ってやりたいが、今はそんな場合じゃない。


熊は完全に俺に気が付き、まるで得物を見つけたかの様にヨダレを垂らしながらゆっくりと近づいて来る。


ええっと熊と出会った時にはどうすればいいんだっけ!?死んだ振りだったか?あれ、それはだめなんだっけ?確か登り坂が苦手だった筈。しかし森と言っても平地なのか足場は悪いが坂らしい坂は見当たらない。あと覚えているのは熊は嗅覚がとても鋭いらしくそのため鼻には多くの神経があって、そこを痛めつけるといいらしいが、生憎俺に熊に近付く勇気は無い。聖剣でもあればいけるんだけど。


そう考えている間にも熊はジリジリと距離を詰めて来る。どうやらまだ俺を警戒しているらしく、スピードは非常にゆっくりでまだ距離はかなりある。こうなったら先手必勝とばかりに俺は踵を返し、熊とは反対方向に走り出す。


「グォォォォッッ!!」


それを見た熊は逃がすまいと俺を追って来る。その速さは巨体に似合わぬスピードでどんどん俺との距離を詰めて来た。


「ヤバいヤバいヤバい!!マジでヤバい!」


俺も必死に走るが熊はそれを上回る。あっと言う間に俺は追いつかれてしまった。


「グォォォォッッ!!」


俺に追いついた熊は自分の腕を高く振り上げ、鋭い爪を見せつける。そして熊は俺めがけて腕を振り下ろした。


……終わった。そう思った。その瞬間、俺の身体を熊の爪は容易く斬り裂いた。


「がぁ…ぁっ!?」


俺の身体は地面とぶつかり、何か暖かい物が流れ出ていく感覚を感じた。視界の橋には赤く染まり行く地面が移る。熊は地面に倒れる俺を見下ろしていた。右肩から腹にかけて肉は引き裂かれ、あまりの痛みに意識が朦朧とする中最後の止めを刺そうとする熊の姿が視界に移る。


まさかいきなり異世界に連れて来られて死ぬ事になろうとは。出来れば夢であって欲しいが、喉の渇きと傷の痛みは本物だ。熊は再び腕を振り上げる。次の一撃を貰えば確実に死ぬだろう。嫌だ怖い死にたくない。そう思っても熊が行動を変える事はない。熊は爪を立て、振り下ろ───






『スキル《血液強化》を獲得しました。スキル《血液武器化》を獲得しました』


頭に響く機会的な声。次の瞬間、地に倒れたのは………銀色の熊だった。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ