ときめきメモリマス5(四百文字お題小説)
お借りしたお題は「褒め体質」です。
蘿蔔綾香は学年全体の男子のマドンナ的存在の高校二年生である。
その綾香が、何故か全校一不甲斐ない男と言われている布貝那実雄に声をかけた。
「布貝君、ちょっといいかな?」
それに気づいた男子達が一斉に那実雄に殺意の籠もった視線を向けた。
「え、な、何、蘿蔔さん?」
オドオドする那実雄の手を取り、綾香は駆け出した。
男子達の声にならない絶叫が聞こえてきそうな状況だ。
綾香は誰もいない教室に那実雄を連れ込み、
「布貝君は好きな子とかいるの?」
那実雄は何を訊かれたのかよくわからなかったので、ポカンとしてしまった。
綾香は呆れ顔になり、
「薺って可愛いよね。布貝君もそう思うでしょ?」
「え?」
だが、那実雄は更に怪訝そうな顔をした。綾香は溜息混じりに、
「薺は貴方の事が好きなの。あんないい子の思いに気づいていないの?」
「ええ!?」
ようやくリアクションをする鈍い那実雄だった。
まだ続きます。