生徒会行事~春~7
星斗君視点です。
解散してから、僕は月花と一緒に力を感じたところに行ってみる事にした。
何か残っているかもしれないし。
実際に力を感じたのは月花だし、僕も月花に直接記憶を見せてもらったから、他の生徒会役員よりは見つけやすい。
「星君。彼処に女の子が眠っているよ。風邪をひくといけないから、起こしてくるね。」
前方を見ると、確かに女の子が木にもたれながら眠っていた。
今、ここにいるってことは、参加者だろう。あのジャージは、一年生だ。氷華学園は、学年によってジャージに入っているラインの色が違う。
ジャージで参加しているところを見ると、文化部である可能性が高い。例外はあるが、運動部はそれぞれユニフォームがある。それに、ジャージがまだ、余り使われていないのが見てとれる。
「…あれっ??寝ちゃってたっ。」
「おはよう。あなた、同じクラスだよね。」
「おはようっ。うんっ。起こしてくれてありがとうっ。」
どうやら起きたみたいだ。
あの場所から然程遠くないから、一応聞くべきか。
「何時からここに?」
緊張させないように、微笑みながら話しかける。顔立ちは、僕も月花も母親に似ていて柔らかいし、怯えられることはない。それでも月花から、無表情だと話しにくいよって言われるから、人と話すときは意識している。
「えっと…始まってから、20分経ったくらいだよっ。どうしてっ?」
急な質問に戸惑っているようだ。無理もないか。
「ちょっと、誰かこの辺りを通った人はいなかったかが気になってね。」
「私が知っている範囲ではいなかったよっ。」
「そうか。ありがとう。僕たちは、これで失礼するよ。」
始まって20分後くらいなら、月花が連絡してきたくらいだ。その時間にこの辺りに来なかったのなら、考えられるのは、人がいたから反対方向に行ったか、異能が関わっているか。しかし、感じた異能は、確かに制御しきれていない、不完全のものだった筈だ。
いや、不完全だったからこそとも考えられるか。
それとも、他になにかがあるのか…
どちらにしろ、今はまだ、情報が少なすぎる。
力を感じた場所に来ると、何か分かるかもしれないとは思ったが、浅はかだった。この行事の間に保護することは、極めて難しいだろう。
相手も、頻繁に異能を使っている訳でもないはず。入学してから今日まで、生徒会役員や一部の事情を知っている教師に気が付かれなかったことが何よりの証拠だ。
長期戦になりそうだ。何としてでも、一般の生徒に悟られる前に保護しなければ―――
ありがとうございました。