生徒会行事~春~6
あれから10分後、生徒会役員が皆集合した。
副会長に、周囲に声が漏れないように防音の結界と、結界の外から中が見られないように姿をくらますの結界を張ってもらって、星君が話し始めた。
実際に体験したのは私なのに星君が先輩たちに説明をするかと言うと、星君の方が説明が上手いから。私も一応、人よりは出来るよ。実際に、身の回りの大人によく褒められたし、表彰をうけたこともあるよ。
大学にも通っていたから、レポートを書くこともあったし、何より両親と星君に自分の意見を述べる際は、分かりやすく簡潔に言うようにしなさいって言われているからね。
「――僕たちからは、以上です。」
「今の話からすると、実際に力を感じたのは、月花さんですよね。」
やっぱり不信に思ったかな。信用していない訳ではないけど、普通は不自然に思うよね。
「はい。本来ならば、経験した者が説明すべきですが、それは、“その人しか分からない”からです。しかし、僕たちの異能の場合は、意識的に記憶を共有すれば、一方が経験したことが、過不足なく“もう一方にも分かる”ために、より説明が簡潔な僕が話しました。時間も余りないですし。」
星君の説明で、納得はいかなくても、事実は呑み込めたみたい。
皆で会長の方を向いて、指示を待った。
「異能保持者と思われる人物は、この行事に参加している可能性が高い。見付け次第、他の役員へ連絡を入れろ。また、他の役員が来るまでは自己の判断に任せる。ただし、無理に動こうとしなくて良い。以上。───解散。」
会長の声とともに、生徒会役員はその場をはなれた。
ありがとうございました。