生徒会行事~春~5
お久しぶりです。
星斗君視点でお送りします。
「星君。此処までだよ。」
月花と記憶を共有した限りでは、異能保持者である可能性が高い。
『記憶を見ると、テニスコートの方から感じたように思えたけど。』
―――『うん。あってるよ。その場で確かめても良かったんだけど、万が一の時の為に、独断で行動するのは控えるべきと判断して、一番早い星君に伝えたの。』
月花の判断は正しい。異能を使った人のことが分からない以上、一人で行動する訳にはいかない。どうにかして他の生徒会役員にも伝えなければならない。
鬼ごっこに参加しない人は、屋内に居るようになっている。この時間に外にいたということは、参加者である確率が非常に高い。
生徒会役員は、連絡が取り合えないように、そういった器機は取り上げられている。
どうするか。
『月花。今から意図的に純粋な"力"を学園の敷地内に流す。』
†††
「何かが起きた時に、生徒会の間で連絡が取れないのは、問題ではないでしょうか。」
企画を進めていく上で、僕が抱いた疑問。何も起きない方が良いが、何も起きないと決まっている訳ではない。
他の役員もそれは考えていたようだ。
「そうですね…それでは、緊急時には、微弱な"力"を広範囲に流して下さい。我々は、気配には敏感ですし、"力"を操ることくらい造作もないでしょう。」
「リスクが高いのではありませんか。一般人がみんな気配に疎い訳ではないと思うのですが。」
月花は副会長の発言に一抹の不安を覚えたようだ。
月花が懸念するのも無理はないが、副会長がなにも考えずに言う筈がない。
「確かに一般人のなかにも気配に聡い者が居るてしょうが、私が学園の敷地に結界を張れば問題ありません。結界に手を施せば、可能です。」
「わかりました。ありがとうございます。」
成る程。そんなことも出来るのか。
月花も納得したようだ。
†††
―――『わかった。私は周りを見ているね。』
『ああ。始めるよ。』
そう言って、僕は微量の"力"を学園内に流した───
ありがとうございました。