神鳴
歩き出して意外とすぐに目的の部屋についた。
そんなに大きくはないけれど、豪華な、とても綺麗な扉で、細部まで丁寧な細工が施されている。
周りの扉も見てみるとそれぞれが違った細工で、住んでいる人の性格に合わせているのかもしれないと思う。
僕がそんなことを考えている間に扉をノックしたのは(インターホンは無かった)コガネだった。
「誰だ?」
「コガネです。入ってもいいかな?」
「あぁ、構わない」
帰ってきた声は綺麗で凛々しく、口調も何というか…しっかり?していた。
扉を開けた先に居たのは、透き通るような水色の髪と銀色の目を持った幼さの残る子ども。
…こども!?
たぶん、身長は150㎝も無いと思う。
こんなに小さいのに…最上階に居るほど偉いのか…すごいなぁ…。
「何だ、シロガネも居たのか」
「えェ。何か問題でモ?」
「いや、問題は無い。
とりあえず中に入って座って待っていてくれ。
お茶、入れてくるから」
「分かった」
「ありがとうございマス」
「あ、えと、お構いなく?」
一応、頭を下げつつ言うと、神鳴さんは一瞬目を見開いたが、お茶の準備を優先することにしたらしい。
椅子に座ってしばらく待っていると、人数分のお茶を持って戻ってきた。
「紅茶で良かったかな?
砂糖もミルクも入れていないから、使いたければ机にあるのを使ってくれ」
それから神鳴さんも椅子に座って、それからはコガネの報告を聞いていた。
しばらくするとそれも終わったようで、神鳴さんは僕の方を向いた。
「せっかく来てくれたのに放っておいて悪かったな。
僕の名は神鳴だ。神鳴と呼んでくれ。
君の名は?」
「あ、御影千歳と言います」
「御影…?あぁ、君があの」
「の、ようですヨ。
お父様の名は千里だト」
「あぁ、やはりか。
どうりで顔がそっくりなわけだ。
では、君に渡さなければならない物がある」
「ちょっと待っていてくれ」そう言った神鳴は、横にある部屋に入っていき、すぐに戻ってきた。
紙の束を抱えて。
「君のお父さん、千里から託された物だ。
読んでみてくれ」
紙の束の一番上には手紙があった。
とりあえず、手紙から読んでみることにした。