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『異能現象』  作者: 黒猫優
一章[異状な世界の現象]
6/28

─考え中の苦悩、日常の平和─

そのまま、授業は進んでいった。

六時間目は数学だった。

「え~、この式は────────」

先生が前で何かを言っている。

だが、俺は真面目に聞く気は全くなかった。

というより、聞けなかった。

頭には、二つの言葉が巡っていた

(『夢』と『深紅の翼』───か)

例え、夢だったとしても何故か気になる

数学の授業も頭にはいってきなさそうだ。

俺はそのまま、授業放棄をしていた。


[4.ちょっとした日常のアレ]

そのまま、授業は終わった。

下校の準備と帰りの会がまだ残っている。

俺は机の横に掛けてある、鞄をとった。

そして、机の引き出しの中にある

教科書・ノート・筆箱・本を出そうとした。

が────────

(──────あれ?)

教科書がなかった。ノートもなかった。

筆箱もなかった。本もなかった。

あったのは、

(これは──────羽?)

それは真紅の羽だった。あの時の、女の子にあった翼の羽の一部のような感覚がした。

だけど、血のついた羽にも見えた。


●●●


ともあれ、教科書やら、何やらは見つかった。

(まさか、靴箱の中とはな)

"苛め"と思うかもしれないが、俺には違う気がした。

「あ、そうだ。」

俺は鞄から紙を出す。一枚の紙だった。

普通にノートの切れ端だ。定規を使ったのか、切り口は綺麗だった。

「今日はここか」

この手紙は、待ち合わせの場所を書いたものだ。

(『アイツ』もよくするよ)

アイツとは幼馴染みのことだ。

俺は若干、急いで歩いていた。教科書・ノートを探すのに時間がかかったために、下校時刻、ギリギリなのだ。

(『この紙』を見る限り、2-3 の教室か)

俺は通り過ぎるクラスの中の壁に掛けてある時計に目を向けた。

(やべぇ、時間が!)

俺はあと少しで下校時刻になる時計を見て、慌てて走った。

2-3の教室は三階にある。俺は今、一階だった。階段の角に差し掛かった。このまま、前にいって、右に階段がある。角になってるので、階段の様子は分からない。

(良し、この階段を三階まで一気に上れば2-3はもうすぐだ)

階段を上ろうと角で右を向いた瞬間。

ドッ!と、俺は『誰か』にぶつかった。

「きゃ!」

「うわぁ!」

二人して後ろに倒れた。

「いててて、あ、すいません!」

「いたたぁ、あ、はいぃー」

俺は立ち直しながら、『誰か』を見た。

その人は

「あ!一葉!」

二人とも立ち上がり終わった。

「あれ?良和君だ。お久しぶりだね」

ウチの学校の生徒会長だった。

名前は『干野一葉』(ほしのかずは)

俺の家のお隣に去年、引っ越してきた。

黒い長髪で、綺麗な顔立ち。背は俺よりも何センチか高い。

「久しぶり。今日も仕事か?」

この頃は一葉が生徒会の仕事が忙しくて、一葉とはあまり会うことがないのだ。

「うん。もうすぐ体育祭でしょ?それの用意をね」

「ふぅん、忙しいんだな」

「まぁ~ね。あ、良和君は何してるの?」

その時、俺は元々の目的を思い出した。

「あ!そうだった!俺、2-3に行かなきゃだった!」

「2-3?・・・もしかして、幼馴染みさんと一緒に帰るの?」

「あぁ、そうだぜ───って、一葉さん?」

へぇー、そうなんだー、と何故か暗黒のオーラを出しながら、光を失った目で俺を見ていた。

何となく、怖かったので、早く行くことにした。

「じ、じゃあな!一葉!俺!急いでるから!」

なおも一葉の目は怖い。

「はぁーい。幼馴染みさんによろしくねぇー」

まだ一葉の目は怖かった。

俺は慌てて駆け出した。


●●●


2-3 に到着した。もう下校時刻は10分を過ぎていた。

「おーい。雅美、帰るぞ」

席についていた、俺の幼馴染みに声をかける。

「あ!遅いよ!カッズー!」

こちらに振り返り、陽気に声を返してくる。

「遅い、て。お前があんな面倒に待ち合わせるからだろ?」

シュタ、と立ち上がり、

「女の子はロマンチックが大好きなんだよ!!」

エッヘン気味に、胸を張る。

『八島雅美』(ヤシママミ)。俺の小さい頃からの幼馴染みだ。水色の短髪で同じ身長。顔立ちは可愛い方だろう。

一葉よりも、俺との友達付き合いが長い。

「はいはい。帰るぞ、雅美」

「はーいだよ!カッズー!」

いつもの雅美の陽気な声が聞こえた。

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