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『異能現象』  作者: 黒猫優
一章[異状な世界の現象]
18/28

─約束遅れの走り連想─

今、俺は走っていた。

菜谷との約束に遅れそうだったからだ。

なぜ、先程した時間的に明らかに余裕だった約束に、遅れそうな状況になってしまったかというと、約束後の俺の行動に原因がある。

まず、服を着替えるために、ぴょんぴょんジャンプをしてタンスに近づいていくときに、こけた。

顔からこけたため、鼻血が出た。

少し鼻から出る赤い液体の量が多かった。

それのため、雅美が心配してくれて、手当てもしてくれた。少し不器用だったが、心配してくれるだけでもありがたかった。

そして、家から出ようとすると、雅美から

『どこかにいくの?』と聞かれた。

もしも、女の子と二人きりになると言ったら、雅美の怒りを買いそうになるので、

俺はなるべく、意気揚々なハキハキ声で

『ウン。オトコトモダチトダヨ』

といったら、何故か雅美が怒気と闇のオーラのようなものを入り混んだ声と雰囲気で

『女の子といくんだね?』と、光彩のない瞳で告げてきたので、

慌てて適当な釈明をしつつ、走って逃げてきたのである。

え?怖かったかだって?当たり前だよ。

俺はあれ以上の恐ろしいものを見たことはないぞ。

まぁ、それはいい。

とにかく、俺は走ったのだ。

時間に遅れないため。そして、背後の殺気から逃れるため。

全力ダッシュをした結果。

時間は二分程度の遅刻ですんだ。

俺は息を切らしながらも、急いで公園内に入る。

「ご、ごめん!ハァ…ハァ…お、遅れてさ」

俺は菜谷にとっさに謝る。

「いえ、だ、大丈夫ですよ。私も今、き、来ましたし!」

恥ずかしいさでもあるのだろうか、言葉を切らしながら、言っていた。最後は大きかったのも恥じらいを隠すためなのかもしれない。

「そ、そうか。でも、まぁ、ハァ…ハァ、俺が遅れたしな。…ごめん、」

だが俺はそんなことよりも疲れていた。両手は太ももにつけて中腰。肩は上下させて、息を切らしていた。さっきから、呼吸が激しい。真面目に息がしずらい。

全力も全力で走ったからか。

「えっと、え、あの、大丈夫ですか?」

心配されてしまった。まぁ、これだけ息を切らしていては、当たり前なのかもしれない。

「いや、大丈夫。ハァ…ハァ、少し走っただけだから…さ」

一応、心配のないことは言ったが、話し方が少し駄目だったのだろうか。

逆に心配されたようだ。

「いえ、でも、えっと、。そ、そこのベンチで休みますか?」

そう言いながら、菜谷は後ろを指でさして、

ベンチを指し示す。

だが、俺はこう思った。

(そんなことは駄目だ。俺は男だ。そんなに気弱ではない。)

俺にもプライドはあるのだ。

だから、俺は菜谷にこう告げた。

「うん。休もう」

結構、俺は即答で答えた。

どうやら、俺は気弱だったようだ。


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