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『異能現象』  作者: 黒猫優
一章[異状な世界の現象]
17/28

─メールとジャージの混雑騒動─

俺は今、またもや、気だるい階段を上がって自室に来ていた。

そう言えば、パジャマ姿だったことにさっき、気が付いたのだ。

部屋着に着替えようと、部屋をはいって右の前方の角にあるタンスを開こうと思い、歩き近づいていく。

(服は……適当にジャージかなぁー)

適当に服を決めてタンスを開ける。中には、ジャージ・制服・私服と大雑把に分けると三種類だけだ。

しかも、三種類ともにおしゃれの欠片も感じるものはない。

そうはいっても、着替えなくてはいけないので、当初の予定通りに黒いジャージを選択した。

黒いジャージを手に取り、着替える。

そのとき、


『プルルルルル♪』


と、俺の部屋に置いてある勉強机(仮)の上に誇らしくも鎮座しているケータイが、甲高い音を出した。

ちょうどズボンから着替えて、まだ、半分しか履いてない形だったために、黒ジャージに足が拘束される。

気にせずに、ぴょんぴょんとジャンプするように、勉強机(妄言)まで移動する。

移動中に若干、こけそうになりながらもケータイまでたどり着き、手に取った。

俺のケータイは折りたたみ式の青いケータイだ。パカッと、ケータイを開く。

そこには【メール二件】と表示されていた。

はて?誰か?、と思いながら俺はメールボックスを開けた。

メールボックスを見ると、二つのメールがあった。

ひとつ目のメールを見てみた。晴樹からだった。メール内容は、

【あ、良和?僕だけど、学校に宿題の答えを忘れてきたから、貸してくれない?】

だった。短い文で一般的な言葉使い。いかにも晴樹だった。だが、メール内容を見るに、このメールはレアだった。

あの晴樹が答えを忘れるなんてそんなにない出来事だろう。

まぁ、答えなら後で貸しておこうと思う。

このメールは、別に大丈夫だったのだ。

問題は二つ目のメール。

菜谷からのメールだった。

内容は、こんなものだった。

【良和さんですか?菜谷です。悩みのことはどうしたらいいですか?】

現象について──────つまりは、昨日の約束のことだった。

そういえば、昨日、俺は幼馴染み様のなんやらかんやらで、メールをしていなかった。

いや、別にメールの約束や俺からメールすることを言ったわけではない。

でも、昨日、俺からあんな約束をしておいて、報告とか連絡をしないのは可笑しいってものだろう。

「ちょっと悪いことしたな…」

早めにメールを返そうと俺は思った。

なので、俺はまだ完全に履いていない黒ジャージを片手で腰の位置に持ちながら、

【昨日はメールせんで、ごめんな!じゃあ、今日は一応、昨日の公園に今日の12:00に待ち合わせな!】

と、明るい感じで自分の出せる最高速度でメールを返信した。

「ふぅ、公園か。」

今の時刻は11:25くらいだ。支度の時間をいれても、余裕だろう。

あとは、菜谷に用事がなければ公園で待ち合わせということになる。

もしかしたら、菜谷にも用事があるかもしれないので、俺はメールの返信を待つことにした。

と、思った矢先に菜谷からの返信がきた。

あまりのその速度。結果は一分も経っていなかった。

「菜谷って、…案外、神なのな…」

その速度を敬意をもって、俺は神速と呼ぶことにする。《神速の菜谷》なんてどうだろうか?

そんな可笑しなことを考えながらも、俺はメールを開いた。

【はい。分かりました。先に待ってます。】

そう書かれていたメールだった。

一行の返信とはいえ、ボタンで打つ折りたたみ式のケータイで菜谷は返信しているはずだ。速度的には速い分類だろう。

だが、とにかく、これで待ち合わせということに決まった。そういうことだから、支度をしようと俺は思った。

だが、そこで俺は気づいた。

「ジャージに着替えた意味ねぇ…」

そんなことを思いながらも俺は仕方なく、完全に履いていないジャージ姿のまま、またもや、ぴょんぴょんとジャンプしながら、タンスに近づいていくのだった。

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