─気だるい朝の密やかな日常─
「あー、寝てた」
俺は目を覚ます。
あのスーパーのあと、雅美の看病をしていたら、睡魔という最大の悪魔に襲われてしまったようだ。
(つまり寝ていた、と────うむ)
一人で納得する。
ただ、俺は今、ベットで横になって寝ていた。雅美の寝ていたベットで。
多分、ベットに上半身をもたれ掛かって寝てしまい、ダウン状態の俺を雅美が寝かせてくれたのだろう。
(───────────)
一瞬、頭のなかに俺が雅美と『添い寝』をしてしまったという言葉が出てきた、が。
無視した。そんなわけ、ない。
幻想逃避をしつつ、俺は起き上がる。
ぶっちゃけ、体がダルい。
動きたくはないが、雅美が昨日、『アレ』だったのだ。一応の警戒は必要だろう。
「さてと、一階に行くか」
俺は自室のドアを開けて右を向く。
階段を気だるい足を使って降りていく。
ふぁ、と途中で欠伸も出た。
階段を降り、リビングに行く。
すると、ソファで雅美がテレビを見ながら、寝そべっていた。
「ぽ?お!おっはぁー!カッズー!いい天気だよ!」
言われて窓を見ると晴天だった。
「そうだな。とても気だるい一日になりそうだ」
俺は無骨に答える。
植物からしたら光合成がマックスでできる機会なんだろうけど、俺にとっては紫外線は眩しいだけだ。目が痛くなる。
「朝からそんな言葉はダメですヨ!」
陽気な雅美の声がした。
晴天だもんな。そりぁ、普通はそう言うだろうな。
だが、俺は反論する。
「晴天だからこそ、休むべきだ。うん、二度寝だな。」
反論というよりは、願望だった。
というより、晴天だからというよりも眠くから二度寝をしようとしているのだろう、俺は。
「カッズー、何処のおじいさん?」
クスクスと笑いながら、雅美の声が聞こえる。その笑顔は眩しい。晴天の太陽よりも眩しいかった。
その笑顔に俺が見とれなかったというと嘘になる。
「う、うるせぇー…」
俺は少し照れていたかもしれない。