─外出ついでのフラグミス─
雅美の『シンデレラ化』も止まったものの。
『シンデレラ化』後の、雅美は一時、気を失った状態になる。その間は、俺は『シンデレラ』から雅美を守らなくてはならない。
と、言っても、硬直後に『シンデレラ』が雅美を再度、乗っ取ったことはないが。
「はぁ」
俺は嘆息と溜め息を混ぜた言葉を吐く。
「まさか、幼馴染みの俺が『シンデレラ』を忘れていたとは」
俺は気を落としながら、俺のベットに寝かせている雅美を見る。俺はベットに座り、上から雅美を見る体勢だ。
いくらなんでも、添い寝は駄目だな。
思春期の少女に。
「大丈夫だ、雅美。俺がついてる」
静寂の部屋で、俺は告げる。
目をつぶり、寝ている雅美の頭を撫でながら。
●●●
『シンデレラ』とは昔。
雅美に憑いた、異能現象で、幽霊だ。
第三の現象[憑依]
霊的物質に異能が付加されて『現象』になる
異能現象だ。
雅美は現象が発症してからは夜の12:00になると、
『シンデレラ化』し、頭が『混乱と乱暴』に侵され、膂力が上がり、攻撃性を秘めるようになる。
今日はあの程度だったが、昔なら、完全な『シンデレラ』になって手がつけられなかった。
「あー。大丈夫かな」
嘆息に似た声を出す俺。今、俺は外に来ていた。
『シンデレラ化』した後の雅美は体温が上昇していくから、スーパーマーケットで冷えぴた・アイスなどの体温を冷ます物を買いに来てるところだ。
雅美の傍に、二時間ほどいた後から外に出た。一時間くらいで再度の『シンデレラ化』の心配は無いが、一応、一時間遅くしていたのだ。
「何が良いかな?」
そして今、俺はスーパーマーケットのアイスコーナーにいた。
どのアイスが良いか迷っていたところだ。
「雅美はイチゴ好きだから、イチゴ味のアイスでいいか」
冷ます性能面よりも味で決める俺。
あと、熱冷まシートでも買っておくか、と俺は思い、俺はスーパーマーケットの場所を移動する。
すると、
「あれぇ?良和くぅん?」
後ろから声をかけられた。俺は声につられて、後ろを振り向いてみた。
「あれ?一葉?」
後ろを振り向いたら一葉がいた。
私服だった、白いワンピースを着ている。
手には買い物かごを持っていた。
中には、かごから、出ているネギや大根が見えた。
「一葉、何してんの?」
「それは私の台詞だよ~。私は朝ご飯の材料を買ってるところ、良和君は何してるの?」
一葉はホワホワ声で俺に話しかけてくる。
「あぁ、俺はちょっと雅美のことでさ」
「え?雅美?幼馴染みさんに何かあったの?」
「あぁ、風邪?かな」
一葉には『シンデレラ』のことは伝えていない。
「風邪!?────(まさか、私の藁人形のせい?)」
「ん?どした?一葉」
最後辺りが、聞こえなかった。
「なっ、何でもないよ~!」
何か慌てふためる一葉。
「え~と、その~、私も手伝おうか?ていうよりも、手伝わせて」
「あぁ───────いや、大丈夫だよ。俺一人でも」
あまり『シンデレラ』については知られたくない。例え、発作後でも。
「本当に大丈夫なの?良和君?」
それでも心配してくれる一葉。
「あぁ、大丈夫さ。ありがとうな。心配してくれて」
「そう。それなら、良いけど」
「うん。ありがとう。─────じゃあ、明日、学校で」
俺はスーパーを後にした。