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『異能現象』  作者: 黒猫優
一章[異状な世界の現象]
13/28

─ある幼馴染みとのラブコメディ─

俺は風呂に入っていた。

当たり前だ。さっき、「風呂に入るか」と言ったのに、何で入らない何てことがあるのだろう。

「ふぅー」

俺は、今日あったことを頭のなかで整理する。

「確か、『屋上のこと』と菜谷のことだっけな」

バシャ、と音がする。肩まで俺は湯船に浸かっている。その状態で腕を動かしたためにでた音だった。

「異能現象──────か」

俺は『現象』を強く拒む。だって『アレ』が無ければ兄さんは────────。

──────はぁ、と俺は嘆息して、

「考えてもしゃーない。『兄さん』のことは、もう────」

しんみりした雰囲気が風呂のなかを支配した、その時。

「カッズー、湯加減はどう?」

風呂場から声が聞こえてきた。雅美の声だ。

「あぁ、普通かな。大丈夫だぞ」

「そうかね。だ、大丈夫かな!」

何か、動揺しながら大きな声で返事をしてくる。

「うん。まぁな」

俺は適当に言った。

「良し」

雅美は覚悟を決めたような声を出す。

ガラガラ、と『風呂のドア』が開いた。

そこから、白いバスタオル姿の雅美が出てくる。『こちらに入ってきたのだ』

「うぅぅうえ!?」

何か変な声がでたな俺。雅美が入ってきた。

バスタオルを体に巻いている。

「何をしてるんだよ!?雅美さんは!?」

俺、絶叫するぜー。

「え!え!だっ、だってぇ~」

「だってじゃねぇ!馬鹿!」

俺は雅美に風呂にある数多の物体をぶん投げる。

(あれ?普通は女の子が男に投げるんじゃねぇ?)

何かしらの考えが頭のなかに出る。だが無視した。洗面器が雅美の額に命中する。

スッコンッ!、という音が聞こえた。

「うぅぅうえ!酷いよ、カッズー!」

額を押されながら、雅美が呻いた。

「う、うるひゃい!出てけ!」

またもや、変な声がでたな俺。

「うぅぅぅぅぅ~!!カッズーの馬鹿!」

捨て台詞と共に、雅美は逃げていく。

ドタドタ、と音を立てながら走って逃げる雅美だった。

あ、そういえば、バスタオル姿のまんまだぞ、雅美。

「はぁ、はぁ、はぁ。危機は去った」

荒い呼吸をする。あぁ、ビックリした。

「ふぅー」

幸い俺は起立はしなかった。危なかったな。

起立をしたら、アレだ、『死』だった。

「・・・・・もう上がろう」

俺は風呂を後にした。


●●●


風呂から上がると、俺の自室で雅美がふて腐れていた。つまり、拗ねていた。

「ばーかカッズー」

「お、お前な」

俺は苦笑する。雅美はベットにくるまっていた。顔はこちらを向いている。

「昔は一緒に入ってたじゃん。ばーか」

「いつの話だよ!?」

「・・・・・・昨日とか」

「なわけねぇだろ!!十年も前だよ!」

つい最近みたいに言いやがった、雅美だった。嘘を吐くな、雅美。

「ブゥー、でもお風呂くらい良いじゃん!」

頬を膨らませて、ブゥブゥと文句を言う雅美。実際、可愛いかった。

「ならばお前は他人に裸を見せていいと?」

「カッズーは幼馴染みだもん!」

「だからってな。恋人じゃあねぇんだし」

「恋人っ!!」

驚愕の表情を作る雅美。

「な、なら、恋人ならいいと!?」

「例えだっつうの!もうさっきのは気にしないから、拗ねるな。電気消すぞ?」

就寝することを告げる。

「はぁーい、ばーかカッズー」

「はいはい」

適当に言い、電灯の電気を消す。部屋は真っ暗になった。俺は布団のなかにもぐり込む。

静寂が俺たちを包んだ。窓から出る月の光が明るかった。

そこで、俺が言葉を切り出した。

「なぁ、雅美、」


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